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2026年2月8日(日)に、「第5回 女子中高生向けリーダーシップセミナー リケジョ・イノベーション ~理系女性起業家が語る、リケジョの可能性~」を開催いたしました。
オンライン開催で、全国各地から沢山の方々にご参加いただきました。今回のイベントでは、中高生の皆さんに、正解のない未来に挑むチャレンジ精神や、理系女性の幅広いキャリアの可能性を実感していただくことを目的としております。モデレーターは株式会社コラボラボ(女性社長.net企画運営)代表取締役横田響子様が務めました。

ゲスト トークセッション

一人目のゲストは、小倉 一葉様(KEEN株式会社 代表取締役)です。
小倉様はお茶の水女子大学を卒業後にマイクロソフトに入社し、2012年から2017年までのクラウド移行が加速する変革期にセールスエンジニアとして従事されました。2019年にKEEN株式会社(旧社名:プリズムテック合同会社)を創業されました。KEEN株式会社は生成AIを活用して、「界隈」や「ファン」などSNS上での共感と文脈を捉えて、「誰が・どの界隈で・どう語るか」を可視化するリサーチツールを企業に提供しています。企業側はそのリサーチを活用することで、自社の製品に強く共感してくれるインフルエンサーを選定し、そのファンに波及していく効果的なマーケティングができます。
小倉様が「界隈」や「ファン」などインターネット上のコミュニティに着目するのは、インターネット上でのつながりに救われた幼少期の原体験が強く影響しているといいます。また、大学では物理を学ばれていて、そこで学んだ流体力学の考え方がサービス設計に活かされています。
他にも、理系で学んだ仮説検証の考え方はサービスを作り上げる上で大きな力になりました。確実に成功するサービスというのは誰にもわからず、アイデアが他の人にうまく理解されないことも往々にしてあります。しかし、仮説検証のサイクルを着実に行うことで、サービスがうまくいくかどうかの再現性を検証し、意思決定に活かすことができます。
起業に限らず、人生においても、仮説検証の考え方は有用だといいます。大きな漠然としたビジョンがある時に、それを達成する方法は無数にあります。方法を選定する際に前提条件の分解を細かく行なっていくと、自分らしい生き方というのを検証可能な仮説として捉えることができるそうです。
小倉様は理系職にとらわれず、やりたかったことを突き詰めるうちにたまたま起業に結びついたとおっしゃっていました。しかし、これまで見てきたように理系における学びや思考法が人生選択に与えた影響は大きく、参加者の方に理系進学の魅力を伝えられたのではないでしょうか。


二人目のゲストは、権藤 菜津姫様(株式会社ORARE 代表取締役)です。
権藤様は高校生の頃から環境問題に強い関心があり、大学では微生物学を学びたいと考えていました。しかし、数学は苦手で、当時は文理選択で悩まれましたが、得意よりも興味のあることを優先することに決めて受験されました。
大学では卒業研究を通して仮説検証の大切さを叩き込まれ、丁寧に考える癖が身についたといいます。卒業後は外資系製薬会社のMR(医薬情報担当者)として就職し、ずっとトップセールスとして活躍されました。小さな失敗の軌道修正ができたことが成果の秘訣であり、仮説検証を重視する大学での学びが活きたとおっしゃっていました。理系出身の女性は珍しく、営業先ではどこの大学を出たかではなく、何を研究していたかを聞かれる機会が多かったそうです。
子どもが生まれてから、子どもの肌に触れるものは優しいものであってほしい、という願いを持つようになりましたが、日本にはオーガニックなベビーソープが少なく、ほとんどが合成であることを課題に感じるようになりました。その原因として、日本の化粧品会社の8割が自社工場を持っておらず、発注(OEM)の際の最低ロットが1万個以上と非常に多いために小規模の会社の参入障壁が大きいことが挙げられます。
そこで、権藤様は順調なキャリアを捨てて、自分で自社工場をもつスキンケアメーカーを立ち上げました。元々の環境問題への関心などもあり、生分解性100%の天然由来原料にこだわった自社製品を開発されています。また、OEMの最低ロットを100個にして受注することで参入障壁を小さくして多様な製品開発の土壌をつくることにも貢献しています。
権藤様は化学に関する専門の課程で学んでいたからこそ、化粧品販売を始めようと思った時にその許可を得るための要件を満たすことができたという経験に照らして、理系を選択してよかったと振り返られました。理系の方が営業も、専門的な資格を必要とする仕事も、どちらもできて幅が広がるため、理系に関心があるなら、大学のネームバリューよりもやりたいことを選んで欲しいとおっしゃっていました。

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、オンライン上で寄せられた参加者からの質問に、ゲストのお二方およびモデレーターの横田様にお答えいただきました。発言やチャットを通じて、参加者とゲストの間で活発なやり取りが行われました。ディスカッションの一部をご紹介します。

・高校生や浪人時代、大学時代を振り返って、保護者はどのような言葉や接し方が良いと思いますか?

―親も正解がわからない中で育ててくれていたことを、自分も親になってから実感しています。子どもが進む道の中には、親がやったことのない分野や馴染みがなく分からないものに挑戦することもあると思います。私の時代にはマイクロソフトは親からしたら馴染みがない会社だったので、心配されました。しかし、母が分からないなりにも寄り添ってくれたことに感謝しています。中高生の皆さんも、親が言うことを1つのアドバイスとして捉えて、自分がやりたいことを突き詰めて欲しいと思います。

―あまり学生時代には勉強をしろと言われることはなく、母は自分の人生だから自分で考えて決めてほしいというスタンスで、応援して寄り添ってくれました。起業するにあたってはなぜ良いキャリアを捨ててまでするのか、と言われましたが、それでも応援してもらうことができました。