2026年7月26日に「第11・12回 陸の植物観察会 〜保護者とともに参加しよう〜」を開催しました。
講師は岩崎貴也先生(お茶の水女子大学理学部生物学科・准教授)が担当し、アシスタントはお茶の水女子大学の大学院生1人と学部生4人が務めました。
植物の形はとても多様で、身近な場所にもさまざまな種類の植物が生えています。今回は、植物の形や香りを観察し、それぞれの種類を見分けるためのコツを学びました。さらに、キャンパスで採集した植物を図鑑で調べた後、大学で使われている実験器具を使って、葉からDNAを取り出す実験にも挑戦しました。
植物の種類を見分けるには?
はじめに岩崎先生から、生物の「種」とは何か、植物の種類を見分けるにはどこに注目すればよいのかを教えていただきました。観察のポイントは大きく分けて6つ。「単葉」と「複葉」の違い、葉の形、葉や枝の付き方、葉脈、葉の表や裏に生えている毛、そして葉をちぎったときの香りです。
確認するところが多く、はじめは少し難しく感じられますが、植物を実際に見ながら、ひとつひとつ特徴を確かめました。同じような緑色の葉に見えても、よく観察するとさまざまな違いがあることが分かりました。
「単葉」と「複葉」の違いを説明する岩崎先生
葉っぱのクイズに挑戦!
植物の匂いソムリエを目指そう
次に、レモン、サンショウ、クロモジ、ゲッケイジュ、クスノキという、香りに特徴のある5種類の植物を使ったクイズに挑戦しました。まず、それぞれの葉を少しちぎって香りを確かめました。続いて、それぞれの植物から作られた精油を染み込ませたAからEまでのチューブを嗅ぎ比べ、どの香りがどの植物に由来するのかを考えました。
参加者のみなさんは、葉とチューブの香りを何度も嗅ぎ比べ、答え合わせの直前まで熱心に考えていました。植物の香りのもとになる成分は、植物自身のくらしに役立つとともに、香料などとして私たちの生活にも利用されていることを学びました。
葉とチューブの香りを嗅ぎ比べる様子
実際に植物を採集し、図鑑を使って「種」を調べよう
次に、植物を採集するため、大学のキャンパスに出ました。参加者のみなさんは、思い思いの植物を採集し、先生や学生アシスタントのサポートを受けながら、高枝切り鋏に挑戦する人もいました。
採集した植物は、はじめに学んだポイントを参考に、図鑑を使って名前を調べました。種類を決めるのが難しい植物もありましたが、葉の形や付き方、葉脈、毛、香り、花や実などをよく観察し、植物の特徴を一つずつ確かめました。
高枝切り鋏を使って植物採集
採集してきた植物を図鑑を使って同定
分子生物学実験で、採集した葉からDNAを取り出そう
最後に、大学の実験器具を使って、採集した葉からDNAを取り出しました。分子生物学実験というと難しそうに感じられますが、大事なのは想像力です。「この液を加えると葉の中で何が起こるのか」「DNAを取り出すためには、次に何をすればよいのか」と、目には見えない変化を想像しながら実験を進めました。
まずは、ごく少量の液体を正確に量り取るためのマイクロピペットの使い方を練習しました。初めて扱う方がほとんどでしたが、説明をよく聞き、丁寧に操作することができていました。
マイクロピペットの使い方を練習する様子
その後、葉を液体窒素で凍らせて細かく砕き、細胞を壊す液を加えました。さらに、遠心分離機を使って不要な成分を取り除き、DNAを取り出しました。それぞれの操作がどのような役割をもつのかを考えながら、慎重に実験を進めました。
取り出したDNAは、そのままではほとんど色がなく、目で見ることができません。そこで、DNAの存在を確かめるための蛍光色素を加え、青色LEDの光を当てました。溶液が緑色に光る様子を観察し、自分で採集した葉からDNAを取り出せたことを確かめました。
上澄み液を吸い取って、次のチューブに移す様子
DNA溶液と水に蛍光色素を加え、青色LEDの光を当てた様子。DNAを含む溶液では、緑色の蛍光が確認できた。
今回は、葉の形や付き方、香りなどを手がかりに植物を見分け、最後には葉からDNAを取り出しました。目に見える特徴だけでなく、DNAを詳しく調べて植物同士で比べることで、植物のつながりや、どのように進化し、各地へ広がってきたのかを探ることができます。身近な植物を観察することから、その植物が辿ってきた長い歴史へと興味を広げる一日となりました。