2026年8月30日(日)に「第2回情報理工学入門セミナー〜AIで自分の歌を作ってみよう〜」を開催しました。稲見昌彦先生(東京大学先端科学技術研究センター 副所長・教授/お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系教授)が講師を担当し、多くの女子中学生・高校生と保護者の方にご参加いただきました。
稲見先生は、長年AIを含むものづくりの力によって人間の能力を拡張する「自在化」の研究に取り組まれています。前半の講演では「『できる』を『つくる』」をテーマに稲見先生のご研究についてお話を伺いました。
研究の原点は、稲見先生の幼少期のご経験にあります。稲見先生は運動が苦手で、まるで『ドラえもん』ののび太のようだったそうです。「もしも技術の力で身体能力を拡張できたら」という思いが「自在化」の研究につながっています。
『ドラえもん』ではひみつ道具によってのび太は様々なピンチを挽回します。中でも「もしも〜なら」という理想を実現する「もしもボックス」は究極のひみつ道具といえます。稲見先生は、先生ご自身がメジャーリーガーやオペラ歌手として現れる動画や、未来の自分と対話できるチャットといったAIによって生み出された「もしも」体験が紹介し、現在AIは「もしも」を実現しつつあると話されました。
AIによる「もしも」体験
稲見先生は今までAIを初めとする技術を用いて様々なものづくりを行ってきました。講義では、「自在肢」や「人工指」といった身体を拡張するもののほか、念じると動くロボットやルービックキューブを解くロボットなどを紹介してくださいました。AIの発達によってものを作るハードルは大きく下がっています。特に生成AIは”How”の壁を越え始めており、今後は「どう作るか」よりも「何を作りたいか」というアイデアが高い価値を持つようになるといいます。また、稲見先生は6本目の人工指をつけるキットを配布され、時間内に実装して、その使い具合を試した参加者もいらっしゃいました。
心のロボット三原則
つくるジザイ
六本指を装着しました
後半の「自分の歌を『つくる』AIワークショップ」では、対話型AIと音楽生成AIの2つのAIを使って、参加者それぞれ楽曲を作成しました。まず曲のコンセプトを考え、ChatGPTやGeminiを使って歌詞を考えます。次に音楽生成AIであるSunoAIに歌詞を元に曲調やジャンルといった指示を与えて楽曲を生成します。参加者は作った楽曲を聴いて「刺さるかも!」「予想より重い曲になってしまった」などと話していました。今まであまりAIを利用したことがなかったという参加者もいましたが、完成した楽曲を聴いてさらに細かい指示をAIに出し、試行錯誤している様子が見られました。予想以上に手軽に楽曲が作成でき、新鮮な体験となったようです。AIを自己表現のツールとして利用することで可能性が広がることを実感することができました。
作曲の時間
曲ができました
稲見先生は「AIを使って自分の能力を拡張することで、人々に応援されたり、AIに学習されることで人類の知に貢献したりすることができるかもしれませんね」と話されました。