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2021年8月24日(火)にオンラインにて、女子中学生向けに「第一回 体験型数学セミナー」(午前に第一回,午後に第二回)を開催いたしました。オンラインでの開催ということで、関東近郊から遠い地域では北海道・東北地域の女子中学生にもご参加頂きました。セミナーの講師は、お茶の水女子大学・理系女性教育開発共同機構の吉村和也先生が担当いたしました。

セミナーでは、理系女性教育開発共同機構で貸し出している「プラレールで数学しよう:基礎編(すれちがい編)」を使用して、「ダイヤグラム」及び「一次関数」について実験を交えながら学んで頂きました。

私たちがふだん電車を使う際には、「時刻表」を見て自分が乗りたい電車の発着時刻を知ることが出来ます。一方、駅員さんは「ダイヤグラム」という特別な運行表を使って、電車の運行を確認しています。この「ダイヤグラム」には一次関数の考え方が利用されています。
今回のセミナーにおける大きなテーマの一つが、「ダイヤグラム」の作成を通して、「身近なところで数学が活用されていること」ことを中学生の皆さんに伝えることでした。

開発教材を使用した実験動画(速い電車と遅い電車が互いにすれ違うように走る)を見て、事前に中学生の皆さんに配布したワークブックに実験のデータを書きこみながらセミナーを受けて頂きました。
速度が異なる2台の電車がA駅からB駅の間を走る動画を見て、2つの駅間を走る時間と2つの駅間の距離から、2台の電車それぞれのダイヤグラムを作成して頂きました。完成したダイヤグラムの交点から、すれ違う位置と時間を読み取りました。さらに、それぞれの電車の走行速度を算出して、それぞれのダイヤグラムそのものを一次関数の式(走行距離をy,走行時間をxとして)で表しました。これら2つの式を連立方程式として解いて、すれ違う位置と時間を導き出しました。最後に、「生徒の皆さんが作成したダイヤグラムから読み取ったすれ違う位置と時間」と「連立方程式から導き出したすれ違う位置と時間」を、実際に走る2台の電車から得られる結果(実測値)と比較して、「ダイヤグラムから読み取ったすれ違う位置と時間」がどれだけ正確であるか、確認して頂きました。結果として、「ダイヤグラムから読み取った値」と「実測値」はほぼ同じになりました。

参加した中学生の皆さんは、ふだん数学の授業で実験をすることはないのではないでしょうか。今回のセミナーを通して、実験をしながら数学を学ぶという新たな体験をして頂きました。学校の数学で習ったことが、今回の電車運行をはじめとして実際に社会に活用されていることを実感できたのではないかと思います。皆さんのこれからの学びの姿勢が、今回のセミナーを通して深まることを願っています。