0

2022年8月25日(木)にオンラインにて「第2回女子中高生向けリーダーシップセミナー リケジョ・イノベーション ―理系女性起業家が語る、リケジョの可能性―」を開催いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、引き続きオンラインでの開催となり、全国各地の沢山の方々にご参加いただきました。
今回は中高生の皆さんに、将来の活躍の場がますます広がっている理系女性が、将来起業をする選択肢について考えていただくため、ご活躍されている起業家のお二方にご講演いただきました。モデレーターは、ご自身も起業をされ、女性活躍を推進する活動をされている横田響子様 (株式会社コラボラボ代表取締役・お茶の水女子大学客員准教授)にご担当いただきました。

ゲスト トークセッション

最初は大笹いづみ様(株式会社教育ネット 代表取締役)にご講演いただきました。システムエンジニアとして会社で働いたのちにICT教育を中心とした教育関連企業を起業された大笹様からは、どのようにして理系への進学や起業という道を選んだのかについてお話しいただきました。大笹様は、中高生時代に数学の必ず答えが出るところに楽しさを感じたことから数学科に進学されました。卒業後はシステム開発会社にエンジニアとして就職されましたが、その頃はシステムエンジニアという仕事が知られておらず、女性のエンジニアはとても少なかったそうです。明確に自分のやりたいことや進みたい方向が決まっていたわけではなかったそうですが、女性も手に職をつけておいたほうが良いという考えや「なんとなく面白そう」という気持ちで飛び込んでみたそうです。起業についても、はじめから関心があったわけではなく、社員として働くうちに、本当に自分のやりたいことを達成するには自分の会社をつくるしかないと感じるようになったからだそうです。株式会社教育ネットでは、大学や会社で身につけたICTの知識・経験を活かして、学校や地域に向けた情報モラル教育、プログラミング教育などの事業をされています。複数の会社で働いた経験やご自身が子育てをしながら働いてきた経験は、女性やだれもが働きやすい組織づくりに役立っているそうです。


次の講演は、渡邊享子様(株式会社巻組 代表取締役)にお話しいただきました。宮城県石巻市を拠点に賃貸運営と人材コミュニティづくりを展開する、株式会社巻組を起業された渡邊様は、東日本大震災を機に自分ができることをしたいという気持ちから会社を興されました。高校時代は部活動に打ち込み、将来やりたいことは決まっていなかったという渡邊様は、お茶の水女子大学人文科学科に進学して地理学を専攻されました。大学生時代に行った海外旅行の際に、古いものを大事にしながら次の世代につなげていく海外の街づくりに関心をもったことから、大学院ではいわゆる理系分野である社会工学専攻に進むことにしたそうです。就職活動中に遭遇した東日本大震災は、渡邊様にとってこれまでの価値観やライフスタイルを大きく変える出来事でした。学生として復興支援のボランティア活動をする中で、今後も石巻市に住みたいと思うボランティアも多くいる一方で、地元住民ですら住む場所がないという課題に気づいたそうです。そこで損壊の大きな空き家を借りて、リノベーションをして貸し出す活動を始められました。現在、日本全国の空き家は東京の世帯数とほぼ同数の850万戸あります。渡邊様は、空き家を活用してこれからの多様なライフスタイルを受け入れられるような場の提供を目指しているそうです。理系で身につけたことを活かしながら、ご自身で活躍できる場を創造されてきた渡邊様の「世界を変える力があるエンジニアリングに関われることは幸せなことです」という言葉はとても印象的でした。

パネルディスカッション

「就職にも起業にもつながる理系選択~理系の学びから社会を変える~」

パネルディスカッションでは、マイクやチャットを通して寄せられた参加者からの質問に、講演者とモデレーターの横田様にお答えいただきました。オンラインではありましたが参加者との活発なやり取りが行われました。ディスカッションの一部をご紹介します。

・起業をする前に組織で働いた経験はどのように役立っていますか。

―こういう環境は働きやすいという社員目線での感覚が分かるので、それを踏まえて男女を問わず、風通しが良く働きやすい環境整備を心がけています。家庭との両立を前提とした働き方がもっと広まっていくと良いと思います。(大笹様)

・どのようにしてこれまで進路や大学の決めてきたのか教えてください。

―大学のオープンキャンパスや研究室見学に行ったり、単位互換制度を活用して他大学の他分野の講義を受講したり、実際に人と会って、自分で経験をして進路選択をすることを心がけていました。出会いの場を増やしていくことが、選択肢を増やすことにつながると思います。(渡邊様)

―大学で数学科に入ってみたら、高校までの楽しいと感じていた数学とは違うものでした。しかし実社会と数学の考え方を結び付ける講義は面白く、出会えてよかったと思うので、進んでみた先に面白いものが見つかるという考え方もできると思います。また、保護者目線から学生の進路選択へのサポートについて回答すると、上から目線ではなく、友達のように情報共有をして相談にのる雰囲気をつくっていました。(大笹様)