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2025年6月7日(土)に数値計算プログラミングワークショップ「めざせ!カーボンニュートラル!」を開催いたしました。対面開催で、小学校5年生から中学3年生までを対象として、多くの児童・生徒、保護者の方にご参加いただきました。ワークショップの途中、保護者の方には大学教員との懇談の時間が設けられました。

今回はK3Tunnelを用いて、どのようなアクションを実行するとCO2を減少させ、排出量と吸収量が差し引きゼロになるカーボンニュートラルを達成することができるのか、プログラミングを用いてシミュレーションしました。

K3Tunnelとは日鉄ソリューションズ株式会社が提供している学習コンテンツです。世の中では人口推計、混雑予想、需要予測などのさまざまな事象を数式で表し、計算することで検証したり予測したりことがあらゆる分野で行われています。これらは数理モデル化、数値シミュレーションなどと呼ばれています。K3Tunnel ではこのような「計算するプログラミング」が世の中の課題解決に活かされていることを体験できます。

イベントでは、はじめに温室効果とは何か、温室効果ガスとしてはどのようなものが挙げられるのか、基礎知識の確認を行いました。参加者が積極的に挙手して発言する姿が印象的でした。

 

それからまずはCO2の排出量を確認しました。ワークシートでは2022年度現在の日本全体のCO2の排出区分を5つに分けていました。エアコンや家電の使用に由来する「家庭」と、貨物や自動車などの使用に由来する「運輸」、農林水産業や鉱業、製造業に由来する「産業」、情報通信や電気ガス水道、サービス業などに由来する「業務」、牛のゲップなどエネルギーを使う以外の理由で排出される「その他」です。これらを合わせて94万6821kt-CO2もあります。このkt-CO2という単位は温室効果ガスの排出量を二酸化炭素換算してキロトン(1000トン)単位で表したものです。つまり1 kt-CO2=1000 t-CO2、1000トン分の二酸化炭素排出量を意味します。

 

次に排出量をどうしたら減らせるのか、「アクションリスト」を参照しました。「アクションリスト」ではCO2を減らすアクションを最大限行った場合のCO2削減ポテンシャル、コスト、頑張り度を示しています。

例えば、「家で冷暖房を使うのをやめる」というアクションを行う場合は、CO2削減ポテンシャルが-8000 kt-CO2、コストが-5100億円、頑張り度は10000です。これはアクションを徹底して行った場合、8000 kt-CO2削減することができ、5100億円節約することができます。しかし、暑い日も寒い日も冷暖房を使えないので、実際にやろうとするとかなりの我慢が必要とされます。この我慢度合いを示すのが頑張り度です。

他のアクションの「家の屋根に太陽光パネルをつける」であれば、CO2削減ポテンシャルが-321000 kt-CO2、コストが1800億円、頑張り度は0です。つまり、お金はたくさんかかるけれども、より効果的にCO2を減らすことができ、私たちがする我慢も少ない、ということです。

これらの数値を暫定的に用いて、どのアクションを、どれくらいの割合で行えば無理なく、コストパフォーマンス良くCO2削減を目指すことができるのか。それをシミュレーションしてもらいました。操作に慣れない参加者もいましたが、サポートのもとで順調に進行しました。最終的にはシミュレーター上でカーボンニュートラルを達成した人が参加者の4分の1近くにおよびました。

 

このプログラムを通じて、カーボンニュートラルを達成するために私たちがしなくてはならないアクションを学ぶことができました。それと同時に、その効果をシミュレーターで実際に検証することによって、数値で具体的に表され、日常生活でのアクションの意義を再確認する良い機会になったのではないかと思います。また、自力でプログラミングを組み立て、シミュレーターで実際に動かす経験を通じて、データサイエンスの基本的な考え方に触れ、理工系に関心を持つきっかけになったのではないでしょうか。