2026年4月5日(日)に数値計算プログラミングワークショップ「めざせ!カーボンニュートラル!」を開催いたしました。対面開催で、小学校5年生から中学3年生までを対象として、多くの児童・生徒、保護者の方にご参加いただきました。ワークショップの途中で保護者の方には大学教員との懇談の時間が設けられました。
今回はK3Tunnelを用いて、どのようなアクションを実行するとCO2を減少させ、カーボンニュートラル(排出量と吸収量が差し引きゼロ)を達成することができるのか、シミュレーションを行いました。
K3Tunnelとは日鉄ソリューションズ株式会社が提供している学習コンテンツです。世の中では人口推計、混雑予想、需要予測などのさまざまな事象を数式で表し、計算することで検証したり予測したりすることがあらゆる分野で行われています。これらは数理モデル化、数値シミュレーションなどと呼ばれています。K3Tunnel ではこのような「計算するプログラミング」が世の中の課題解決に活かされていることを体験できます。
イベントでは、はじめに温室効果とは何か、温室効果ガスとしてはどのようなものが挙げられるのかなど、基礎知識の確認を行いました。
それからまずはCO2排出の区分と量を確認しました。ワークシートでは日本全体のCO2の排出区分を5つに分けていました。エアコンや家電の使用に由来する「家庭」と、貨物や自動車などの使用に由来する「運輸」、農林水産業や鉱業、製造業に由来する「産業」、情報通信や電気ガス水道、サービス業などに由来する「業務」、牛のゲップなどエネルギーを使う以外の理由で排出される「その他」です。これらは経済活動の上で必要不可欠ですが、大量のCO2を排出してしまいます。
次にCO2をどうしたら減らせるのか、「アクションリスト」を参照しました。「アクションリスト」はCO2を減らすアクションを最大限行った場合の影響を、CO2削減ポテンシャル(そのアクションで実現可能な最大のCO2削減量)、コスト、頑張り度の3項目で定義しています。今回のイベントでは、「アクションリスト」を踏まえて、1つアクションを選ぶならどれを選ぶか、参加者から意見を募りました。参加者が積極的に挙手して発言しており、身近で実行しやすいことを重視するか、大規模でCO2を減らせることを重視するのか、人によってアクションを選ぶ視点や基準が異なっていたことが印象的でした。
この「アクションリスト」では、例えば、「家で冷暖房を使うのをやめる」というアクションを行う場合は、CO2削減ポテンシャルが-8000 kt-CO2、コストが-5100億円、頑張り度は10000です。これはアクションを徹底して行った場合、8000 kt-CO2削減することができ、5100億円節約することができます。しかし、暑い日も寒い日も冷暖房を使えないので、実際にやろうとするとかなりの我慢が必要とされます。この我慢度合いを示すのが頑張り度です。
他のアクションの「家の屋根に太陽光パネルをつける」であれば、CO2削減ポテンシャルが-321000 kt-CO2、コストが1800億円、頑張り度は0です。つまり、お金はたくさん使うけれども、より効果的にCO2を減らすことができ、私たちの我慢も少ない、ということです。
K3Tunnelではこれらの数値を基に、複数のアクションを組み合わせて、どの割合で行えばコストパフォーマンス良く、かつ我慢することなく、大幅なCO2削減を目指すことができるのかシミュレーションで試すことができます。参加者はシミュレーター上でカーボンニュートラル(100点)を目指してアクションごとのリソースを振り分けるプログラミングを行い、高得点者が続出しました。
このプログラムを通じて、カーボンニュートラルを達成するために私たちにできるアクションを学ぶことができました。それと同時に、その効果をシミュレーターで実際に検証することで、日常生活でのアクションの意義を定量的に確認する良い機会になったのではないかと思います。また、シミュレーターを動かす経験を通じて、データサイエンスの基本的な考え方に触れ、理工系に関心を持つきっかけになったのではないでしょうか。
終了後には、今回K3Tunnelのサポートをしていただいたお茶の水女子大学の理系の学生、日鉄ソリューションズ株式会社に勤務するお茶の水女子大学卒業生が、参加した生徒および保護者と共に理系進学に関する意見交換会を開催しました。