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2026年7月25日(土)に「第6回女子生徒の理系への進路選択支援を後押しするために」を開催いたしました。オンラインで開催し、全国各地から多くの方々にご参加いただきました。

女子生徒の理系への興味・関心は生徒自身のさまざまな体験や周囲からの働きかけによって育まれていきます。今回は理科と家庭科の学びから広がる理工系進路選択と女子生徒の視点からの進路選択について2名の先生にご講演いただきました。

 


最初の講演は「女子の理系進学をどう支えるか 高校現場から見えた進路選択のリアルとヒント」をテーマに、岡幸子先生(元都立竹早高等学校 教諭)にお話しいただきました。岡先生はお茶の水女子大学 理学部生物学科をご卒業後、都立高校の生物教諭やNHK「高校講座生物」の講師などを務められました。退職後の現在も教科書の執筆やNPO法人での活動、同大学の非常勤講師など多方面で精力的に活動されています。本講演では、ご自身の進路選択や教員・子育ての経験をもとに、女子生徒の進路支援についてお話しいただきました。

岡先生ご自身は高校時代、文系科目が得意で理系科目を苦手としていましたが、本を通じてDNAや生命の根源の美しさに魅せられ、生物学科を志されました。受験時には数学Ⅲに苦労し、大学でも教職課程の必修科目であった物理に苦労されたものの、諦めずに学びを深め、卒業後は東京都立高校の理科(生物)教諭となられました。科目ごとの得意・不得意だけで判断せず、興味に従って進路を選んだことがご自身のキャリアにつながったと振り返ります。

高校での指導経験から、生徒が抱える進路の悩みについても紹介されました。中でも印象的だったのは、将来の目標が定まらず悩む生徒と、親の期待との間で葛藤する生徒の事例です。前者の進路に迷っていた生徒は、入学後に幅広く学びながら進路を選べる文理融合の学部を見つけ、自分に合った選択肢に希望を持つことができました。一方、後者の、幼い頃から医学部を目指していた生徒は、志望変更を考えながらも親を失望させたくない思いから本音を伝えられずにいました。子どもは親を心配させまいと「大丈夫」と答えがちであるため、保護者は自分の安心のためではなく、子どもが夢や進路について率直に話せる環境づくりを心がけることが大切だとおっしゃっていました。

さらに近年の動向として、文理融合の学部や、文系科目でも受験できる理工系学部が増加傾向にあり、門戸が広がりつつある現状も紹介されました。こうした情報は意識的に探さなければ見つけにくいため、保護者や教員が最新の入試情報を収集し、適切に生徒へ提供するサポートが求められるといいます。

最後に、女子生徒が理系に興味を持ちながらも挑戦をためらう背景には、周囲の大人が抱く無意識の先入観が影響している可能性があると指摘されました。だからこそ、保護者や教員が子どもの目線に立ち、その夢を尊重しながら支えることが、女子生徒の理系進学を後押しすることにつながると締めくくられました。

 

次に、「物理・化学選択の理系に進んで家庭科教員養成課程の大学教員となった今思うこと」をテーマに、都甲由紀子先生(大分大学 教育学部 准教授)にお話しいただきました。都甲先生は、初等中等教育コース(家庭科)で被服学を担当されており、本講演では被服学に出会うまでの進路選択やキャリアについて、ご自身の経験を交えながらお話しくださいました。

都甲先生は子どもの頃から理数系の学問が好きで、特に「色が見えるのはなぜか」という疑問から、光の性質そのものに深い関心を持っていたといいます。理系出身ではないご両親がコップに満たした水の表面張力やお風呂で感じる浮力といった日常生活の中にある科学現象を一緒に楽しんでくれたことや、学校の教員、学外の科学講座などで研究者の話を聞いた経験が、その興味・関心を豊かに伸ばしてくれました。文理選択では自然と理系を選びましたが、当時は物理・化学を選択して受験する女子生徒はまだ少数派でした。そうしたロールモデルが少ない環境のなか、理系科目を教える女性教員との出会いが進路選択の大きな後押しとなったそうです。

光や物理への興味を持ち続ける一方で、「身近な生活をより良くするために科学を役立てたい」という思いから、お茶の水女子大学生活科学部人間環境科学科に入学し、専門分野として生活工学講座を選ばれました。都甲先生によれば、生活工学は家政学に似た分野で、家庭生活を中心とした人と環境の相互作用について、自然科学・社会科学・人文科学を基盤に研究する、文理融合の学問です。同講座では家庭科教員免許の取得を目指しながら、理学部の物理・化学を学ぶことができたといいます。同講座で駒城素子先生と出会い、その指導のもと、博士前期課程までインジゴ染色ジーンズの加工に関する科学的研究に取り組まれました。

博士前期課程修了後は、東京の私立中高一貫校の家庭科教諭となり生徒指導にあたりましたが、周囲からの後押しもあり、30歳で博士後期課程に進学してラック色素の染色性を研究されました。そして博士後期課程修了のタイミングで大分大学の公募に応募し、現在の職に就かれました。

都甲先生はご自身の経験を踏まえ、進路は必ずしも一直線である必要はなく、文理融合の学部が重視される現代においては文理を横断する多様な進路が存在すると語られました。また、理系の進路を身近なロールモデルが後押しすることの重要性を実感していると述べられました。そのため、地域や環境によって理系選択の機会が左右されることなく、誰もが進路を選択できる社会を支援者とともに築いていきたいと締めくくられました。

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【理系女性育成啓発研究所からの補足】
現在は、お茶の水女子大学に2024年度に開設された共創工学部人間環境工学科(https://www.te.ocha.ac.jp/ug/eng/index.html)で生活工学を専門に学ぶことができます。家庭科教員免許は取得できません。
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講演後の総合討論では、「文系理系を選択するときに最も大切にしてほしいことは」「学生の進路選択のために教員や保護者が心がけるべきことは」などといった質問に、岡先生、都甲先生から具体的な返答を頂きました。