国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
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理系ということもあり、学部修了後に大学院に進んで、将来は研究職に就きたいと考えていました。お茶の水女子大学では仲西正教授の材料物性研究室に所属していましたが、研究の幅を広げようと思って、留学を志望しました。これが大学4年次のことで、翌年に留学。修士課程1年次の9月から翌年2月までの半年間をウィーン工科大学で過ごしました。
このウィーン工科大学では留学に関する語学要件はなかったのですが、学部3年頃のTOEICスコアは760点ぐらいだったと思います。英語の読み・書きは何とかできたのですが、話すことが苦手だったので、その部分は不安でしたね。また、留学準備として、化学や実験に関する英単語を覚えておきました。
留学先では科目を履修するということではなく、研究室に所属して、研究に打ち込むという毎日でした。具体的には、Chemical technologies and analyticsという専攻のRosenberg先生の研究室で、先生の専門である染料の分析をするという研究です。たとえばヨーロッパの美術館や博物館にはキリスト教を題材にした古いテキスタイルが多く残されていますが、それらが作られた当時に使用された染料は何だったのかを解明する研究で、歴史的にも貴重な作品の退色などを修復する際に役立つものです。
とはいえ、私の担当は基礎中の基礎で、染料の抽出方法や分析装置の条件を様々に変えながら、最も適切な方法や条件を検討することでした。お茶大でも研究はしていましたが、たとえば薬品の英語名の発音が聞き取りにくいなどの苦労はありましたね。また、グループではなく個人単位で研究を任されるので、ストレスも感じたりしました。
そんなときのリフレッシュ法は、寮の友達と楽しく過ごすこと。近くに巨大観覧車で有名なプラーターパークがあり、その隣にあったクラブに行ったり、日本食を作ってパーティーを開いたりしました。ちなみに和食はダイエットにいいとウィーンでも人気なんですよ。
なお、単位は研究時間に応じて認定されるようになっており、私の場合は最終的に10単位を留学で取得して、帰国後にお茶の水女子大学でも卒業要件単位に換算できました。
留学を通して様々な面で成長したと思いますが、卒業後の進路が一番大きな変化でしたね。実は留学前は外資系企業を目指していたのですが、ウィーンという外国で日本メーカーが作ったプロダクトの良さを再確認。私も就職先を日本のメーカーに変更して、メイド・イン・ジャパンの良さを世界に広げるような仕事をしたいと強く思うようになりました。
そこで研究のかたわら、就活をスタート。海外にいても、インターネットを通して就活関連サイトは閲覧できますし、企業の採用情報も収集できます。私も志望するメーカーの採用情報をチェックして、エントリー。ただし、エントリーシートはWEB送信ではなく、手書きした現物を送らなければならなかったので、エアメールで郵送。この締め切りが2月末、面接は帰国後すぐに、というスケジュールで、帰国前後は本当にあわただしかったですね。
面接では、残念ながら、留学経験をアピールする機会はあまりありませんでした。というのも、ある程度英語ができることは、もはや珍しくありませんし、それよりもどんな研究ができるのかというところに重点が置かれていたような気がします。
それでも、内定をいただくことができたのは、苦労はしたけれども研究をやりとげ、日本人が少ない環境で友人を作り、様々なことに挑戦したという留学での経験が、大きな自信になっていたからに違いありません。
やはり就活には大変なエネルギーが必要ですし、期間が定められおり、手順やルールに沿って行う必要がありますから、留学を考えている人には、就活を考慮した綿密な計画を立てることをおすすめします。