国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
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【町の様子】
ヒースロー空港から西北西にバスで70分、そこにオックスフォードの街はあります。カレッジが点在する街の中心部は徒歩で移動できる大きさで、新旧の重厚な石造りの建物が軒を連ねています。東京のような高層ビルが無きに等しいオックスフォードの街では、高緯度地方独特の真っ青な空がいつも視界にあり、ゆっくりと流れる雲が心をやさしく包んでくれます。年度の始まる10月半ば頃には、すでに薄いコートが必要で、その後、徐々に日没時間が早くなり、冬が到来します。そのピーク時には、午後3時半頃には暗くなります。ランチを食べて、一息つくとすぐに通りに街灯が点り始めるといった感覚です。逆に、冬が過ぎれば、街には色とりどりの花が一斉に咲き乱れ、まさに「長い夜」が続く日々をじっと耐えて過ごした人々へのご褒美のようです。夏の日没時間は午後9時過ぎ。一日の仕事を終えた後の時間を、人々は謳歌します。
【カレッジについて】
お茶の水女子大学が協定を結んでいるクイーンズカレッジは、40近くあるカレッジのうちのひとつで、創立は1340年に遡ります。ハイストリートに面した門をくぐると、ポーターさん(守衛さん)が笑顔で迎えてくれます。校内はシンメトリカルなデザインになっており、正面左にダイニングホール、正面右にチャペル、さらにその左右の建物には先生方の研究室や主に学部生向けの寮が配されています。
【寮について】
クイーンズカレッジは大学院生向けにカレッジ外にふたつの寮を所有しています。私が一年間過ごした寮はカレッジから徒歩で15分ほどの場所にあり、約90人が暮らしていました。共同部屋ではなく個室になっており、シャワーとトイレは各部屋に完備されていましたが、キッチンは共有だったので、食事を作りながらの友人たちとの会話はいつも心を和ませてくれました。寮の周囲には、クライストチャーチ所有の広大な公園や夏にボートレースが行われるテムズ川があり、カレッジや図書館への道すがら、美しい風景に触れながらの散歩を満喫することができます。
【学期中の学生生活 勉強編】
オックスフォード大では3学期制を採っており、各タームは8週間ずつです。10月初旬に、新入生および故郷に帰省していた学生が街に戻ってきて、次の週からはいよいよMichaelmas Termと呼ばれる第一学期目が始まり、12月初旬まで続きます。2ターム目のHilary Termは1月中旬から3月中旬まで、Trinity Termと呼ばれる最終学期は4月下旬から6月中旬までです。
授業については、他学科のものも含め、特に制約なく自由に選択することができました。授業の種類としては、先生による講義形式の「レクチャー」、学生による発表を中心に進められる「セミナー」、そのふたつの混合型の「クラス」があります。場合によるようですが、「クラス」や「セミナー」では、人数制限等が設けられていることがあるようなので、事前に自分の指導教官(チューター)に相談してみるのがいいかと思います。また授業とは別に、指導教官から個別に研究指導(チュートリアル)を受けることができます。私の場合は、タームにも因りますが、平均して週に4つほどのレクチャーやセミナーに出席し、毎週チュートリアルをしていただいていました。
【学期中の学生生活 夜編】
8週間ずつで構成される3つの学期中は、みんな勉強に文字通り「没頭」するのですが、同時に、院生やカレッジ主催の大小のパーティにも積極的に参加します。パーティはだいたい夜の8時頃から始まり、夜の11時過ぎ、時には真夜中まで続くのですが、どの人も次の日の朝には元気はつらつとしていて、そのバイタリティには驚かされどおしでした。パーティの内容は、男性がブラックタイ、女性もそれに相当するようなドレスで参加するフォーマルなディナーから普段着でのドリンクやダンスまで多様です。そうした場に参加することで、カレッジ内外に多くの友人を作ることができます。オックスフォードには、世界各国からの留学生がおり、それぞれの文化的バックグラウンドや専門分野のことをはじめ、さまざまな話題に花が咲きました。
【食事事情】
最後に、食事事情についてですが、先にも書きましたが、寮にキッチンがあるので、そこで自炊をすることができます。また、カレッジでも3食とも食べることができます。朝食、昼食は予約なしで食べられますが、夕食は予約制ですので、その日の朝11時までにインターネット上で予約を入れることになります。夕食は6時半からのfirst sittingと7時15分からのsecond sittingの2回があります。食事の内容はどちらの回も同じなのですが、second sittingではガウンを着用することになっており、テーブルに蝋燭も灯されるので、少し改まった雰囲気を味わうことができます。なお、街には和食も含め、さまざまな国のレストランがあります。私の場合、オックスフォードで食べたものの中でおいしかったものと言われて真っ先に頭に浮かぶものは、友人たちとの持ち寄りパーティでごちそうになったイギリス料理、タイ料理、中華料理、韓国料理などの各国料理です。おいしい料理が友達の輪を広げ、深めていくことを実感した一年間でした。ちなみに、和食で喜ばれたのは、スモークサーモンで作ったお寿司やきんぴらゴボウなどでした。
オックスフォード独自のシステムも多く、特に留学を開始した当初は戸惑うことも多くあるかもしれません。けれども、そうしたときは、メールあるいは直接出向いて、何でも質問すれば、どの方も気持ちよくそれに答えてくださいます。いろいろな方々の温かいサポートに支えられ、これからオックスフォードに留学なさる方も、それぞれにかけがいのない一年間を過ごされることでしょう。
個人的に、英語が母国語の元大学教師の先生に、渡英約一年前より、週に一回レッスンをお願いし、主に、その週に書いた作文を添削していただいていました。
上記の問いでお答えした個別指導の他に、英文学の勉強のために英語の文献を毎日読んでいました。
修士課程に入学した際のガイダンスのなかで、交換留学の制度について紹介されました。詳しい内容については、大学構内の掲示板から情報を得ました。
ネイティブの先生との個別指導を続けたことの他に、留学中にどんな勉強をしたいかをよく考えました。そのために、語学だけでなく、英文学の方の勉強にも一層力を入れていました。
ビザの取得など事務的なことが多かったことが大変だったように記憶しております。また、初めてのひとり暮らし、海外生活であったため、日本の家族との通信手段(メールや電話)が渡英後すぐに確保することができるのかどうかが不安でした。
Studentビザを取得しました。
郵送による申請も可能ですが、私は英国大使館査証部( 千代田区 )まで出向き申請をしました。詳しくは、ホームページ(www.ukvisas.gov.uk)を参照なさることをおすすめしますが、必要な書類は次の通りです。 1. パスポート 2. 申請用紙(ホームページよりダウンロード可) 3. パスポートサイズの証明写真2枚 4. 英国内の教育機関からの入学許可書(*) 5. 滞在費用証明(最近6ヶ月分の記録のある預貯金の通帳)(*) 6. 査証料金 7,200円(現金にて) (注)(*)のついた書類に関しては、オリジナルにコピーをつけることが必要。
航空券(一年間有効)の手配をしました。
Queen’s Collegeの大学院生用の寮(St Aldate’s House)の一室が割り当てられました。この寮は、各部屋にシャワーとトイレがあり、キッチンは他の院生と共有でした。
大学側が手配してくださいました。
299ポンドでした。
なるべく自炊をするようにはしていましたが、生活費は、食費だけでも、一週間で50ポンド弱ほどかかったと思います。カレッジの食堂での食事は、ランチなら2.5ポンドほど、ディナーだと3.5ポンドほどでした。オックスフォードの物価は、東京に比べて高いと思いました。
学費は6,000ポンドほどかかりました。その他、勉学にかかる費用は、コピー代や本代を合わせて、ときに週に25ポンドほどかかることもありました。
冬は3時半頃に暗くなりましたが、寒さは東京の冬程度でした。夏は9時半頃まで明るく、湿度が低いため、暑い日でもカラッとしていました。
カレッジが点在し、学期中は学生を含め、大学関係者があふれています。その他に、観光地でもあるため、世界各地からの観光客が季節を問わず訪れ、街を歩くと、英語以外の言語も頻繁に聞こえてきました。
アジアの食材店で、日本食材も買うことができますので、お醤油やお米など基本的なものはだいたい揃います。ただ、例えば、鰹ぶしのように、そのお店が扱っていないものもありますので、特に日本食に関してこだわりの食材がある方は、日本から持っていらっしゃることをおすすめします。食品以外で、日本にあって現地にないというものはそれほど多くありませんが、文房具などは日本で購入する場合に比べ、現地では若干値段が高めでした。
治安上、特に問題はないと思います。ただ、お祭りのときなどには、スリも多いと聞きました。
オックスフォード大学のLanguage CentreのPre-Sessional Course in Englishを1ヶ月間(8月中旬から9月中旬)受講しました。最長2ヶ月のコースで、コースの人数の4分の1ほどは、2ヶ月間受講していたようです。クラスの内容は、Listening, Reading, Writing, Speakingの4つの要素からなっており、各分野ごとに個々にレベル分けがなされていました。クラスメートの出身地は、本当に様々でしたが、ヨーロッパ(スペイン、スイス、ドイツ等)からの留学生に比べ、アジアからの留学生が多かったです。なかでも多かったのは、中国からの留学生でしょうか。
学部と院での授業を自由に選択できました。ただ、院生用のセミナーに出たい場合には、チューターの先生を通じて、担当教員から事前に許可を得ておく必要がありました。
先生方は原稿を作ってきて、よどみなく早口で講義をなさるので、リスニングの勉強になりました。また、院生対象のセミナーでは、毎週の課題が多く、それらの資料を集めて読み込んでから授業に望むというサイクルは本当に大変でした。
自らの専門性を高める上でも、視野を広げる上でも、非常に有益でした。
イギリス人とアメリカ人が主流でしたが、そうした人たちと親しくなることができました。また、単発的な講演会(先生方による講演、院生による講演、両方。オックスフォードではそれらのこともセミナーと呼んでいる)においても、知り合いが多くできました。
単位を取る場合と比べ、授業への参加は任意で、個人の自主性にゆだねられていました。また、毎週あるセミナーについても、発表するかしないかは任意でした。
特に区別はありませんでした。年度末のexamや論文が課されぬこと以外は、他の大学院生と変わらぬ扱いを受けていましたが、まれに学部主催のパーティにもお招きいただくこともありました。
カレッジ内では、授業外の場面での様々な交流を楽しむことができました。例えば、キッチンでの夕食を作りながらの会話やMCRでのパーティなどです。
0weekに留学生対象のオリエンテーション二日間にわたってありました。内容は、オックスフォードの街、大学の制度、銀行口座の開設方法、生徒会(JCRまたはMCR)の活動内容など多岐にわたり、留学初期には役に立つ情報ばかりでした。 ちなみに、このオリエンテーションには、学部生・visiting student対象のもの、大学院生用対象のものの両方があり、私は学部生・visiting student対象のほうに参加しましたが、もしも日程が合わない場合には、内容的にはほぼ同じだったようなので、大学院生用対象のほうに参加することも可能かと思います。
ケースバイケースですが、何でも先生方(ときに事務の方々)にご相談してみることで、日本では考えられないほど、臨機応変に対応してくださることがあります。その反面、日本よりもいろいろなことの決定がゆっくり行われることもありますが、いずれの場合にも、不安なこと、わからないことがある際には、遠慮せずに、質問してみるとおのずと道が開けてくると思います。
研究の面はもちろんですが、それ以外の面、特に友人たちとの交流を通してたくさんのことを教わりました。なかでも、人が集まれば、特別な大がかりな準備はなくとも、自然に会話がはずむ、イギリス人気質に触れ、人との気さくな交流の楽しさを改めて感じました。また、他の国の人と何かやり取りをする際には、それぞれの言葉と同時に(とても抽象的ですが)「慣習」を知ることにより、より円滑に進むことということを実感しました。