国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
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私は2002年9月から1年間、韓国ソウルの淑明女子大学校に留学しました。
渡航前は生活や語学の面、また大学の授業についていけるかどうかという不安ばかりでしたが、終わってみると1年はあっという間で、「もっと○○すればよかった」と、振り返ってみればこその贅沢な後悔がたくさんあります。
比較歴史学コースに在籍していたので、留学中は過去の日韓関係を学ぶこと、大学生や韓国の人々が歴史をどう捉えているか、日本の(一般の)歴史認識と違うところはどこかということかを考えたいと希望していました。大学の授業で「日本歴史探訪」を選択したことによって、古代からの歴史概説を中心に、東アジアとの関わりを重視した講義を聞くことが出来、韓国だけでなくアジア史の中の一部として日本史を学ぶことが出来たことは大変有意義でした。授業中はもちろん、休憩時間のおしゃべりを通しても具体的な感想や意見を韓国人学生たちから聞くことが出来たのは、日本ではできない貴重な体験であったと思います。
また、淑明女子大では女性学に力を入れているので前近代から現代までの韓国の女性をめぐる状況について社会学的な見地からの授業を受けることが出来ました。各自論文を読んでのプレゼンテーション・討論も課される厳しい授業もありましたが、積極的に参加し、また日本との比較についての発表も行うことは自分にとって良い訓練となりました。
韓国では日本以上に英語教育が盛んです。上記の女性学関連の授業もそうですが、淑明では一般教養や情報系の授業は英語のみで行われるものも多く、韓国語の聞き取りに不安のあった留学前期にはこうした英語の授業を履修科目に入れていました。
韓国語はお茶大では1年次から第二外国語として履修していましたが、週1コマというペースでのんびりしたものでした。留学中は大学の授業と平行して週3回Lingua Express(大学併設の語学専門教育機関)で韓国語を受講しました。大学の友達とは異なり、この語学クラスは年齢や国籍もバラバラのメンバーでしたが、韓国語や英語をとりまぜてのコミュニケーションは非常に楽しく、直に異文化に触れる時間でした。
淑明女子大には各国から留学生が多く、大学の留学生係には親切に対応してくれる先生方が常駐され、留学中の細かな手続きから生活のことまで相談にのってくれます。生活面では留学生と大学院生・外国人教師のための国際館という寮が学内にあり、利便性が非常に高くなっています。大学の周囲も静かな住宅街ですが、地下鉄やバスを使えばソウル中心部までわずか10分ほどです。
私の留学中には、小泉首相の平壌訪問、韓国の大統領選挙、朝米関係の緊張など朝鮮半島をめぐる大きな出来事が続きました。寮の談話室で、韓国人の友人たちとニュースや新聞を見ながら話したこと、街中での選挙運動や示威運動の雰囲気を肌で感じたことなど、得難い経験です。
現在、韓流ブームといわれる好意的な韓国への視線があります。しかしそれに反比例するかのような北朝鮮報道があり、東アジアにおける歴史問題、領土問題に関する過激な議論も高まっています。このように大きな問題はいくつも存在しますが、韓国留学はその解答の端っこをつかむことのできる良い経験であると思います。
最初は留学準備のつもりではなく趣味として、語学学校に通っていた。結局約2年間通ったが、留学が決まってからの通学期間は半年ほどだった。
大学入学以前から、ある程度勉強はしていた。本格的に勉強するようになったのは大学で第二外国語として選択して以後、授業以外に語学学校に通った。通算すると勉強期間は3~4年。会話は流暢とはいかないが、読み書きは可能な程度だった。
語学学校の先生、友人やインターネットを通して。
韓国への留学だったので、韓国の歴史や社会についての勉強。
留学中は大学の寮で生活することを希望していたが、直前まで入寮できるかどうかわからなかったことが一番困った。(生活用品の準備や、もしも入寮できなかった場合の下宿確保など)対処のしようがない問題だが、北朝鮮をめぐる半島の情勢変化は常に気になっていた。
一般研修ビザ(D-4)
大学の入学許可証が届いたのが、渡航予定の1ヶ月前をきってからだったので、東京の韓国大使館領事部での通常手続きでは間に合わない(1ヶ月かかる)と言われ、広島の領事館で手続きを行った(2日で発行された。広島で手続きをしたのは実家があるため)。入学許可証と住民票、写真とパスポートを添えて提出した。残高証明などは必要なかった。
大学の寮に住んでいた。学部生が住む「寄宿舎」ではなく、外国人教師や大学院生と留学生のための「国際館」という寮だった。
学校側に手配を頼んだ。その際に「寄宿舎(学部生用、4人部屋)」が良いか「国際館(22人部屋)」が良いか聞かれた。
日本円で2万5千~6千円程度(水道・光熱費込み)。
寮で食事が出なかったため、ほぼ三食外食だったが約2万円あれば十分だった。物価は東京とあまり変わらないが、食費や交通費は非常に安い(しかし、ここ数年でも交通費の値上がりがあり、変動は激しい)。
授業料以外には、教科書代や調理実習の材料費など、一学期で5千~1万円程度。 プレゼンテーションを行う授業では、OHPを使う場合、シート作成代(数十円だが)が毎回かかった。
気候は日本とほぼ同じ。冬はとても寒い(最高気温がマイナス)が、暖房設備がどこもしっかりしている。夏は乾燥しているので凌ぎやすい。
静かな住宅街だが、バスや地下鉄を使えば10分ほどでソウル中心部に出られる。大学のすぐ側には大きな公園もあり、環境はとても良い。ちなみに植民地期には日本人街だった場所である。
なんでも現地調達できるが、パソコン(日本語環境のもの)はあったほうが良い。レポート作成など授業関係で必要なのはもちろん、e-mail等通信手段が確保できるので。
日韓友好ムードは高まっているが、人によって、また時期(3月1日や、8月15日など)によっては反日的な感情が高まるため、街中での行動や発言には気をつける必要がある。 決して治安が悪いわけではないが、注意する必要があるのは東京でも同じ。
大学付設の語学学校で学んだ(大学の単位になる)。プレイスメントテストがあり、個人のレベルに応じてクラス分けされる。大学と違い、外部に開かれた授業なので学生だけでなく在韓外国人(米軍基地がある街だったので、一般人だけでなく軍人もいた)が受講していた。大学に留学している他国の学生ももちろんいた。授業は基本的には韓国語で行われるが、英語でも説明が行われていた。受講生同士も英語で話すことが多かった。
留学生向けではなく、もともと英語で開講する授業はたくさんある。テキストの輪読を行う授業もあれば、情報学でコンピュータを使う授業、韓国伝統料理の調理実習まで英語で行われていた。 学部によっては、卒業時の要件にTOEICの点数が指定されるので、学生は皆熱心に英語の勉強をしている。
留学先の学部の必修科目と韓国語の補習クラスは必修だったが、それ以外は自由に選択できた。履修登録は指導教官ではなく、留学生課の先生と相談して決めた。
講義がほとんどなので、授業中特に困ると言うことはなかった(ノートをきちんととらないと、試験で苦労する)。分からなかったところは後で友達に聞いたり、先生に質問に行ったりした。
有益だった。直接専門と関係しない授業でも、韓国人学生の意見を聞くことは非常に有意義だったと思う。
授業によってはグループで作業やプレゼンテーションを行うので、親しくなる機会は多かった。講義だと、黙って先生の話を聞いているだけなので、なかなか授業中に親しくなるということはない。
常に韓国と日本の場合を比較してどう思うか、ということを尋ねられたため、授業の予習は、課題についての韓国の状況と日本の状況を両方調べていた。
現地学生とまったく同じ扱いだった。
学科内でイベント(先生も参加する飲み会や合宿)がよく行われていたので、そういう場で親しくなることが多かった。
留学してすぐ、留学生歓迎会が行われた。留学生課の先生たちの挨拶や、語学学校の先生たちの挨拶があり、大学案内のスライド(英語)を見た。
留学先の言葉や文化を勉強することはもちろん必要だが、それ以上に日本のことを聞かれることが多いので、きちんと答えられるようにしておいたほうが良い。言葉を覚えても、「語るべき内容」がなければ何の意味もない。現地語以外に、英語での会話・読み書きが出来るとより安心。公的な書類などは英語で作らなければならない場合があった。
大学のキャンパス内で学ぶことはもちろん多いけれども、旅行者ではなく、生活者としてその国を見聞できるのは留学中だけなのでどんどん街に出て行くことも大事だと思う。