みんなで実現する絆をつくる“つながり力”を大切に


内田 志づ子さん
都立立川高校校長 お茶の水女子大学文教育学部体育学科卒業。現在は都立立川高校の全日制、定時制の校長を兼任。立川高校は進学重点校。独自の65分授業の導入や、「立川アドバンス計画」などを推し進める等、特色のある教育を行っている。

教師という職業は「天職」

私の学生時代は丁度、学園紛争の時代でした。社会を学生が改革しようという機運のなか、周りには政治活動やセツルメントなどのボランティア活動に積極的に励む友人がたくさんいました。(注:セツルメント…労働者街やスラムに定住して、住民との人格的接触を図りながら、医療・教育・保育・授産などの活動を行い、地域の福祉をはかる社会事業のこと)彼らと比べて、自分は平凡で常識的過ぎる人間である、ととても悩み、個性を模索していました。当時は男女雇用機会均等法の施行前であり、「教師」は、男女を平等に働かせてくれる魅力的な職業でした。お茶の水女子大学が、東京女子高等師範学校の流れを汲む学校であることも私の進路決定に影響したように思います。また、自分の平凡さや常識的なところに学生時代は悩んでいましたが、教育という分野においてはどんな価値にも相対的に向き合えるという点で長所となるのでは、と気づきました。業務上のことで行き詰まった時があっても生徒に癒されるので、本当に教師は「天職」です。この仕事を選んでよかったと思う日々を過ごしています。

教員という仕事の面白さ

生徒が協力して一つのものをつくりあげたり、苦手なものをクリアしていく、という成長過程に自分が直接関わって、その瞬間瞬間を本当に近い距離で目撃することができます。特に私が教えていた体育という科目では、科目の特性上、そのような機会がとても多かったように思います。そのような場面に出くわしたときは心から教師という職業の面白さを実感することができます。

さらなる良い教育の実現

私の思う「良い教育」とは、生きる力としての学力をつけ、人格形成の健全育成を図ることです。なかでも、一人ではできないことをみんなで実現する力や、絆をつくる力は本当に大切であると考えています。この大切な力のことを私は「つながり力」と呼んでいます。良い教育を行うには良い先生だけでは限界があります。「良い学校」が必要です。良い学校とはつまり、一人ひとりの居場所がきちんとあり、良い教育を提供する学校です。校長となることで裁量が増え、理想とする教育をストレートに実現することができるのではないか、と思い教師生活を続けているうちに校長職を目指すようになりました。

生徒の一生に関わる決断

校長となったことで裁量が増えた分、責任も増えたため、悩むことも増えました。特に悩むのは決断をする場面ですね。教育課程や修学旅行のことなど、生徒の 一生に関わることを決断しなければなりません。このようなときには「教育とは生徒のために行われるものである」という本来の目的を第一に考えることで自ずと後悔しない決断をすることができます。また、トラブルの中には、一人の力で解決するのでは限界があるものもあります。そういう時には、一人で抱えこむの ではなく、他の人の力も借りて解決に向かうことも大事です。

女性リーダーを目指して

管理職は長時間労働ということで敬遠する女性が多いようで、女性の校長は珍しい存在です。女性の校長が少ないことに対して、大変ですね、とよく言われますが、むしろ目立つことができて良いと感じています。また、女性の校長には、流されて校長になったのではなく、志をもって管理職になった方が多いように思います。女性のリーダーが少ないということは女性の視点が欠けることにつながります。社会の損失とも言えるでしょう。また、一人ひとりが向上心を持たないと社会はなかなか成長していきません。社会のためにも自分自身の生の充実のためにも、上を目指すことに臆病にならず、人の上に立つことをどんどん目指して欲しいと思います。

行政側からも支える教育

教育は人づくりです。教育に関心のある学生は教員を志望しがちではありますが、行政全体で教育を見る視点もとても大切です。議員や国家公務員という立場からも「教育」を支えることができます。お茶大のみなさんには、現場だけでなく、ぜひ行政の側からも教育に携わってもらいたいですね。

ネットワークをつくろう

学生時代は様々な人と交流して、生き方やあり方を考える時期です。まずは、大学の中でしっかりとネットワークをつくりましょう。それから、外との交流をたくさんすることをお勧めします。何かイベントや講演会、勉強会などの企画があったら、ぜひ積極的に参加してみてください。

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