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2021年11月21日(日)に「第1回女子中高生のためのVR体験セミナー」を開催いたしました。オンライン開催ということで全国各地の女子中高生の方にご参加いただきました。今回は女子中高生の皆さんに、インターネット上でVR空間を体験してもらいながら、情報科学の最新技術、理系に進学した女子大学生の日常を紹介しました。

参加者は事前に送付したマニュアルにしたがってVR専用のSNS「cluster」をインストールし、お茶の水女子大学の講堂「徽音堂」を模したVR空間で自分のアバターを操作して参加しました。実際に講堂での講演のように登壇者は壇上に上がり、壇上の両側のスクリーンに映像やスライド、コメントを映し出しました。参加者はアバターで徽音堂の中や周囲を歩き回り、リアクションをしてVR空間や講演を楽しみました。同時配信をしたYouTubeからの参加者もVR空間を疑似的に体験することができました。

開会挨拶は加藤美砂子教授(お茶の水女子大学 理系女性教育開発共同機構 機構長)が務め、司会は伊藤貴之教授(お茶の水女子大学 基幹研究院 教授、文理融合AI・データサイエンスセンター長)が担当いたしました。

基調講演

講演は、五十嵐 悠紀様(明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 准教授)「コンピュータを用いた手芸設計支援」というテーマでお話しいただきました。五十嵐様はコンピュータグラフィックスを用いて手芸の設計をおこなうプログラムの研究をされています。例えば三次元のぬいぐるみを作るときにまずは二次元の型紙を作らなければならないのですが、初心者が完成形をイメージして型紙を作るのは難しく、オリジナルのぬいぐるみをデザインすることは通常難しいそうです。五十嵐様は、PC上に三次元でデザインしたモデルの型紙を導き出すプログラムの開発をされています。縫製して綿を入れたときにデザインを再現できるような型紙は、バネモデルという物理シミュレーションにより求めているそうです。「手芸」は一見理系とは全く関係のない分野ですが、実は数学や物理が隠れていて、情報科学により設計のシミュレートができるというところに一番の面白みを感じているとのことでした。研究のきっかけは日常のお散歩や育児の中から見つけることがあったという五十嵐様からは参加者に向けて『「手芸×情報科学」のように、皆さんも自分の興味にしたがって異分野コラボレーションを見つけてみてください。』というメッセージをいただきました。

(クリックすると拡大します。)

理系進学に関する現役学生との座談会

お茶の水女子大学理学部情報科学科の現役学生3人と理系進学に関する座談会を行いました。参加者はclusterやYouTubeのコメント欄から質問を投稿して交流をしました。座談会の一部を紹介します。

  • 理工系に進む女子が少ない中で、理系に進学することについてどう思いましたか?

―私の高校では理工系に進学する女子は少なくなかったのであまり気になりませんでした。

―他大学では情報系でも男性のほうが割合としては多い傾向があると思うので、お茶大のように女子しかいなくて少人数という環境は自分にとっては気が楽で質問もしやすく、ありがたいです。

―最近は理工系に進学する女性も増えてきているので、ご自身の興味のあることを貫いて自信をもって進学してください。(伊藤先生)

  • 情報科学科ではどのようなことが学べるのでしょうか?

―お茶大の場合は工学部ではなく理学部なので、コンピュータで何かをつくるというよりは、(低学年のうちは特に)数学やコンピュータの仕組みなど基本的なことを学びます。機械学習やデータ解析などについて学ぶこともできます。

  • 情報系に進学してから、ほかの分野を学ぶ機会はありますか?

―お茶大では文理融合リベラルアーツといって、全学向けの講義が多くあります。私は心理学や食物学、惑星学など、自分の興味のある講義をとっていました。他大学でも「教養科目」として他分野を学ぶ機会があると思います。

―大学に進学してからも、自分の専門分野以外を学ぶ機会は多くあると思うので、ぜひ幅広く学んで興味関心を広げてください。日常の色んな所に研究やアイデアの種があると思います。(五十嵐先生)