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2021年10月23日(土)に「海の生き物観察会」を開催いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を十分にとり、対面での開催になり、14名の女子中学生の方にご参加いただきました。

講師は、清本正人教授(お茶の水女子大学理学部生物学科教授、湾岸生物教育研究センター長)が担当いたしました。アシスタントはお茶の水女子大学理学部生物学科の大学生2名と同大学大学院ライフサイエンス専攻の大学院生1名が務めました。


講義と観察

はじめに清本先生から動物の分類や体の対称性についての講義を受けた後、参加者は千葉県館山市の湾岸生物教育研究センターからやってきた貝やカニ、ウニといった海洋生物の観察をしました。

 

まずは軟体動物である巻貝(アマオブネ、スガイ、イシダタミ)とヒザラガイを手に取って観察しました。巻貝の見分け方や、巻貝でも二枚貝でもないヒザラガイについて学びました。

 

次に節足動物であるカニ(ヒライソガニ、オウギガニ)とヤドカリ(ホンヤドカリ、イソヨコバサミ)の観察をしました。節足動物の体は頭部・胸部・腹部の三つに分けることができ、さらに一つの体節に対して一対の付属肢(足)があります。(例えば、昆虫では胸部に三つの体節があるので付属肢は六本。) 体節や付属肢の数の違いがカニやヤドカリ、エビを分類するときの大事なポイントになります。

まずは生き物を捕まえられるようになることが観察の最大の難関であり、第一歩です。捕まえたカニやヤドカリの体の腹側をよく観察して、体節と付属肢はいくつあるか数えて違いを探しました。

 

次は、棘皮動物であるムラサキウニとイトマキヒトデの観察です。棘皮動物はヒトデを見ればわかるように五放射相称の体のつくりをしています。では、一見丸い形をしているウニも五放射相称なのでしょうか?

ウニの殻を切って体の中を観察すると、内臓などが五放射相称のつくりになっていることがよく分かりました。


光学顕微鏡を使った観察

ここからは光学顕微鏡を使って、海の中のさらに小さな生き物の観察を行いました。参加者はスライドガラスやカバーガラスを使って、自分でプレパラートを作って観察をしました。
はじめはステージの動かし方や焦点の合わせ方など、顕微鏡の使い方が分からなかった参加者も、どんどん使い方を習得して生き物を観察できるようになりました。

まずは節足動物であるウミホタルの観察です。ウミホタルは発光物質を出して青い光を出す生き物です。顕微鏡で観察した後に電気刺激を与えて発光する様子を見てみました。

 

続いてムラサキウニとイトマキヒトデの幼生、そして稚ウニの観察をしました。ウニやヒトデは子どものときは大人とは異なる体のつくりをしていて、昆虫と同様に「変態」をして、先ほど観察した五放射相称のつくりになります。では、幼生のときの対称性はどうなっているのでしょうか。

顕微鏡で観察してみると、ウニやヒトデの幼生は左右対称のつくりをしていました。観察前の講義で「棘皮動物は五放射相称であるのに、左右対称の動物の仲間に分類されているのはなぜか?」という問いが清本先生から出されていましたが、「左右対称な幼生から五放射の成体になるということは、左右対称な祖先から五放射の体に進化したと考えられるから」という答えが、幼生と成体の両方を観察した参加者にはよく分かったようでした。

さらに顕微鏡に偏光板を取り付けて、ウニの幼生の骨格である骨片を観察してみました。通常の観察方法では骨片を観察することはできませんが、偏光板を使うことで性質の異なる物質が明暗や色の違いとして観察できるようになります。偏光板の一枚を接眼レンズに、もう一枚を光源の上に置いて観察すると、骨片が虹色に光るように観察することができました。


3時間半と短い時間でしたが、たくさんの海の生き物を観察することができ、参加者は生き物の分類や体のつくりについて理解を深めることができました。講義や観察の中で、参加者からは海の生き物の体や行動についてたくさんの質問がありました。観察から関心が高まり、身近な生き物についての「なぜ?」を考える機会になったようでした。