0

2022年2月20日(日)にオンラインにて「第1回女子中高生向けリーダーシップセミナー リケジョ・イノベーション ―理系女性起業家が語る、リケジョの可能性―」を開催いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、オンラインでの開催となり、海外や日本全国から沢山の方々にご参加いただきました。
今回は中高生の皆さんに、将来の活躍の場がますます広がっている理系女性が起業をする選択肢について考えていただくため、ご自身で起業をされてご活躍されているお二方にご講演いただきました。モデレーターは、ご自身も起業をされて女性活躍を推進する活動をされている横田響子様 (株式会社コラボラボ代表取締役・お茶の水女子大学客員准教授)にご担当いただきました。

ゲスト トークセッション

最初は清水美雪様(株式会社メディカルラボパートナーズ 代表取締役)にご講演いただきました。
医療機器・ヘルスケア用品の開発を支援するコンサルティング会社を起業された清水様からは、理系進学や会社勤めを経た起業のきっかけについてお話しいただきました。小学生のときに塾で実験をして面白いと感じたことが、理系に進んだきっかけだったという清水様は、大学・大学院では化学を学び、卒業後は企業研究者として医療機器の開発をされてきました。実験をすることも楽しく、患者さんやお医者さんの役に立つ製品を開発することに大きなやりがいを感じていたそうです。しかし仕事にまい進されていた中で、ある日ふと「どうしたら、もっとたくさんの製品を作れるんだろうか?」と思った清水様は「会社の外の多くの人と開発をしていけばいい。そのために起業をしよう!」と考えたそうです。会社を辞める不安もあったそうですが、失敗しても研究職として戻ってこれるという自信が起業の後押しになったそうです。企業時代に新規事業マネージャー業務のために仕事と並行して新たに学んだ経営学の知識も活かされているそうです。現在は250社を超える会社と医療機器製品の開発をされ、好きなことを仕事にする楽しさを感じているそうです。最後に女子中高生の参加者の皆さまに向けて『大学入学時だけでなく、将来の道を決めていくタイミングはこれからたくさんあります。自分が思うよりも色々な選択肢があるので、広い視野でやりたいことが実現できる未来を考えてみてください』とメッセージをいただきました。


次の講演は、久野華子様(株式会社トライフル 代表取締役)にお話しいただきました。
外国語対応人材の派遣会社を起業された久野様からは、理系進学から文系就職を選んだきっかけや、やりたいことをやりきる大切さについてお話しいただきました。大学では工学部化学工学科で学ばれた久野様は、学生時代は学問よりもサークルやアルバイトに打ち込んでいたそうです。将来の道に悩んでいた久野様は、アルバイトで出会った人の仕事への考え方に影響を受けて自身も誇りをもって働きたいと思い、好きだった通販の会社に就職されました。その後女性の働き方に疑問をもち転職を決意したことをきっかけに、今まで自分が逃げてきた本当にやりたいことをやりきろうと考え、夢だった世界一周の旅に出ました。その中で出会った人々の言葉や帰国後の派遣社員としての経験から、女性を中心とした非正規社員や外国人人材の受け皿をつくろうと起業を決意されたそうです。大学時代の理系の専門とは遠く離れた文系就職・起業をされた久野様は、大学時代の経験は、知識などの分かりやすい専門性ではなく、論理的に話す力や定量的な分析能力などの理系の力が「夢とソロバンを両立させる力」として、起業や会社経営に役立っているそうです。最後に参加者に向けて『1つの分野でナンバーワンになれなくても、語学・イベント・人材といった合わせ技でオンリーワンになれます。』と理系の力を活かしたオンリーワンへの後押しになるメッセージをいただきました。

パネルディスカッション

「就職にも起業にもつながる理系選択~理系の学びから社会を変える~」

パネルディスカッションでは、マイクやチャットを通して寄せられた参加者からの質問に、講演者とモデレーターの横田様にお答えいただきました。オンラインではありましたが参加者との活発なやり取りが行われました。ディスカッションの一部をご紹介します。

・学生時代に起業は考えたましたか?学業と両立する時間的な余裕はあったと思いますか?

―起業という選択肢があることすら、知らなかったと思います。理系は研究や講義の時間が多いので、起業の準備と両立するのは難しいかもしれないと思います。
―最近は起業についての情報も増えてきたので、学生のうちに起業する人も増えてきたと聞きます。学業との両立には時間のマネジメント力が大切だと思います。

・自分がやりたいことをひとに相談したら逃げだと言われ、自分のやりたいことが分からなくなってしまいました。「逃げ」は現状から目を背ける言い訳なのか、それとも新しい道へのスタートなのでしょうか。

―好きでやりたい!という気持ちは持ち続けるといいと思います。それから仕事にするのか、趣味にするのか、学問として勉強していくのかを分けて考えてみましょう。
―若いうちは迷ってもいいし、やりたいことは変わっていくものだと思います。やってみてダメだったら、また違うものに挑戦していけばいいという心持ちをもってみてください。


最後に横田様から、2040年の労働市場イメージについてのお話と参加者のみなさんに向けたメッセージをいただきました。『今後は、一人のキャリアパスの中で終身雇用と兼職や起業が循環していくような未来になるのではないでしょうか。女子中高生のみなさんは将来について悩むことも多いと思いますが、やりたいことは人生の中で変わっていくことも多いです。悩みすぎずに進みながら、軽やかに自分のやりたいことを実現する道を探してみてください。今回の講演が、その選択肢の1つとして起業を考えるきっかけになれば嬉しいです。』