2022年6月11日(日)に「第2回女子中高生のためのVR体験セミナー」を開催いたしました。オンライン開催ということで全国各地の女子中高生の方にご参加いただきました。第1回の開催と同様、女子中高生の皆さんにインターネット上でVR空間を体験してもらいながら、情報科学の最新技術、理系に進学した女子大学生の日常を紹介しました。
参加者は事前に送付したマニュアルにしたがってVR専用のSNS「cluster」をインストールし、お茶の水女子大学の講堂「徽音堂」を模したVR空間で自分のアバターを操作して参加しました。実際に講堂での講演のように登壇者は壇上に上がり、壇上の両側のスクリーンに映像やスライド、コメントを映し出しました。参加者はアバターで徽音堂の中や周囲を歩き回り、リアクションをしてVR空間や講演を楽しみました。第1回講演の際の空間を少し広げ、徽音堂から校門までの道を追加し、更にお茶大の雰囲気を感じていただきました。同時配信をしたYouTubeからの参加者もVR空間を疑似的に体験することができました。
開会挨拶は加藤美砂子教授(お茶の水女子大学 理系女性育成啓発研究所 所長)が務め、司会は伊藤貴之教授(お茶の水女子大学 基幹研究院 教授、文理融合AI・データサイエンスセンター長)が担当いたしました。
基調講演
講演は、工藤 和恵先生(お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授)に「新時代のコンピューティング」というテーマでお話しいただきました。工藤先生は統計物理学を専門に研究されています。今回は「経済安全保障上でも極めて重要な技術」とされている量子コンピュータについて詳しくお話しいただきました。量子コンピュータには開発中のゲート型量子コンピュータと実現化しつつあるアニーリング量子コンピュータがあり、アニーリング量子コンピュータの一種で組み合わせ最適化問題を高速に解けるイジングマシンというものがあるそうです。計算方式は磁性体のモデルで粒子のスピンのエネルギーを最小化することだそうです。このような計算を行うイジングマシンはテーマパークの効率的な回り方の提案や交通量最適化による渋滞緩和、医薬品開発の効率化、投資信託の最適な組み合わせの決定など、様々な分野に応用されているそうです。最後に、工藤先生から「量子コンピューティングは技術の進化過程を最前線で観察できることが魅力であり、新たな使い方を開拓するのは私たちだ」とメッセージをいただきました。
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理系進学に関する現役学生との座談会
お茶の水女子大学理学部情報科学科の現役学生3人と理系進学に関する座談会を行いました。参加者はclusterやYouTubeのコメント欄から質問を投稿して交流をしました。座談会の一部を紹介します。
- 理系の勉強で大変だったことはありますか?
―大学受験の際なのですが、本格的に受験勉強を始める高3の時に数学Ⅲの勉強と既習内容の復習を並行して進めるのが大変でした。1,2年生の時に十分に演習を積んでおくべきだったと後悔しています。
―理系だからと言って特別大変だと思ったことはないです。文理に関わらず受験の際の勉強は、どちらもある程度大変だと思います。
―数学が得意ではなかったので数学の勉強が大変でした。数学の得意な友達に教わって乗り越えました。また、他の教科を強みにしようと頑張りました。
- 大学で理系に進学してみて印象的だったことはありますか?
―実習が多いことが印象的でした。学んだことを実際に使って問題を解決する体験ができ、とても楽しいです!またスキルが身についている感覚を得ることができ、自信がつきます。
-理系は学科によって学ぶ内容が異なっていることに驚きました。共通科目でもどこまで細かく学ぶかなど異なっていました。
-理系は学科によって専門性が出てくるので学科選びは皆さんの将来にとって重要であると言えます。また、大学では答えのない問題に対する実験や実習をする機会が増えます。大学での主体的な学びは皆さんが自立するための道筋となっていきます。(伊藤先生)
- これからの理系生活で楽しみなことや将来について教えて下さい。
―情報科学科としてになってしまうのですがプログラミングでできることが増えることが楽しみです。また、土台として学んでいる数学系の科目が情報系に絡んでくることが楽しみです。将来については決まりきっていませんが、興味のあることについて追求できる仕事につけたらいいなと思っています。
―海外の大学院に行ったり、情報科で学んだことを生かしてエンジニアの職に就きたいです。これから先の可能性が無限にあるので楽しみです。
-なんとなくだったものが原理を理解して使えるようになることが楽しみです。また何かやりたいことが見つかり、研究室で研究をすることも楽しみです。
-時間が経つにつれて徐々に自分が何を学んでいるか、具体化してきます。だんだん明らかになってきて、自分が就職したいところが見つかってきます。大学に入ってから見えてくるものがあるので将来を決めるより、興味のある学科に進むことを考えて欲しいと思います。
- 本日参加された中高生の皆さんへメッセージをお願いします!
―何となく難しそう…という想像や苦手意識からではなく、自分の興味から素直に進路選択をしてみて下さい。やりたいことが見つかると一気にやる気が出てきます。本日の講演会が理系学部に興味を持つきっかけや、何かのやる気に繋がるものとなっていたら嬉しいです。
-進路選択をする際には世論や周りの声を気にせずに自分の興味から進路選択してみて下さい!
-理系に興味があったら迷わずに進学して下さい!大学には様々な人がいるので仲間は必ずできます。興味のあることを学ぶのは楽しいです。最後まで諦めず、その時にできることを精一杯やりましょう。
-学校の科目にあるものだけでなく、もっと広い視野を持って進路選択をすると良いと思います。(工藤先生)