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2023年11月19日(日) に 「第4回女子中高生のためのVR体験セミナー」 を開催いたしました。オンライン開催ということで全国各地の女子中高生の方にご参加いただきました。前回の開催と同様、女子中高生の皆さんにVR空間を体験していただきながら、情報科学の最新技術、理系に進学した女子大学生の日常を紹介しました。

参加者は事前に送付したマニュアルにしたがってVR専用のSNS 「cluster」をインストールし、お茶の水女子大学の講堂「徽音堂」を模したVR空間で自分のアバターを操作して参加しました。実際に講堂での講演のように登壇者は壇上に上がり、壇上の両側のスクリーンに映像やスライド、コメントを映し出しました。参加者はアバターで徽音堂の中や周囲を歩き回り、リアクションをしてVR空間や講演を楽しみました。セミナーの最後には、参加者全員で徽音堂から屋外に出て、実際のお茶の水女子大学の雰囲気をより身近に感じていただきました。

開会挨拶は加藤美砂子教授(お茶の水女子大学 理系女性育成啓発 研究所 所長)が務め、司会は伊藤貴之教授 (お茶の水女子大学 基幹研究院 教授、文理融合AI・データサイエンスセンター長)が担当いたしました。

 

 

基調講演

講演は、藤山真美子先生(お茶の水女子大学 生活科学部 人間・環境科学科准教授)にお話しいただきました。藤山先生は都市空間や環境デザインを専門に研究をされています。そこでVRと現実では何が違うのか、私たちにとっての空間とは何なのかということをテーマにお話しいただきました。
今回の講義では徽音堂内を自分のアバターで自由に動いたり、中には壇上に上がって先生の隣で講演を聞いたりする生徒の姿が見えました。VR空間では現実空間だと出来ないようなことができる一方、一人称視点に切り替えることで現実と似たような感覚を得ることができました。「空間」と聞くと自分たちの身を守るシェルターなようなものと考えられることが多いですが、空間は私たち人間の認知によって現れるものだとお話しされていました。
現在、藤山先生の研究室では、江戸時代に歌舞伎が演じられる芝居小屋の浮世絵をVR空間に反映させるなど、VR技術を活かした研究が進められているそうです。講演を通して、VR技術の進歩と新たな可能性を実感することができました。

 

理系進学に関する現役学生との座談会

お茶の水女子大学 生活科学部 人間・環境科学科の学生2人と理系進学に関する座談会を行いました.参加者はclusterのコメント欄から質問を投稿して交流をしました.座談会の一部を紹介します.

  • 理系進学を志した動機は何ですか?
    ―小さい頃から読書よりも機械をいじる方が好きだったため自然と理系を志していました。高校に入ってからも物理の授業がとても楽しかったため、理系進学に決めました。
    ―数学Ⅲの世界を知りたかったことと、理系の女性不足の現状を聞いていたので、自然と理系を志していました。
  • 高校時代の理系の勉強で大変だった点は何かありましたか?
    ―数学IIIと化学がとても苦手で受験勉強の際にも苦労しました。どちらもお茶大の二次試験では必要ないものの、併願していた私立大学で必要だったため勉強する必要がありました。どちらも問題集を解いてわからないところは高校の先生や友人に聞いてひとつひとつ苦手をつぶせるよう意識して学習していました。
    ―数学や物理などで、ただ公式を覚えたり目先のテストで点を取ったりすることよりも、概念や意味まで理解しようとするところが、楽しくも大変でした。
  • 大学で理系に進学してみて印象的だったことは何ですか?
    ―課題の多さにとても驚きました。私は建築を専門として学んでいこうと考えていますが、1年後期に入ってから専門の授業が増え、出される課題の量も多くなりました。ですが、自分の好きな分野であるため、大変ではありますが友達と協力しながら楽しく取り組んでいます。
    ―想像以上に微分積分を使うことです。今までは大学受験を意識した勉強でしたが、大学に入ると実際に課題を解決する手段として今まで習ったことがたくさん活用されていて、それが印象的でした。
  • 理系に進学してみて周囲の女子の友達の印象はどのような感じですか?
    -私は高校までずっと共学に通っており理系の女子が少ない環境が多かったですが、大学に入って同じ志を持った友達がたくさんいることを強く感じました。学科には個性豊かで面白い人が多いです。
    ―それぞれ得意な分野を持っていたり、勉強以外にも特技があったりする人が多く、また文理に関わらず人として尊敬できる方々がたくさんいるので、とても刺激になります。
  • 理系学生として学ぶ上で、文系科目はどのように役立っていますか?
    ―大学の建築の授業で有名な建築物について学んだ際に、高校で身につけた世界史や日本史の知識がとても役立ちました。当時は歴史の授業が将来役立つことはないと思っていましたが大学に入ってからも文系科目で学んだことが役立つ機会がたくさんありました。
    ―文系科目自体は、レポートを書いたり、違う国の人と交流したり、どこかへ旅行に行ったりするときに必ず役に立ちます。また、理系に進む人間として文系科目を学ぶことで、自分の専門外で興味のあることに挑戦しやすくなったと思います。
  • これからの理系生活でどんな点が楽しみですか?将来をどのように考えていますか?
    ―学年が上がるにつれて専門の授業が増えていくことがとても楽しみです。卒業後は大学院に進学してさらに建築について学んでいきたいです。
    ―私は機械工学系を学ぼうと考えています。将来は何がどこで役に立つか全くわからないので、運と縁を大切に、今目の前にあるものに一生懸命取り組んでいきたいです。
  • 本日参加された中高生の皆さんへメッセージを
    ―まだ自分が将来何をしたいのか、文系理系どちらにするか決められていないひとは多いと思います。これからの中学校生活、高校生活でさまざまな経験を通して、自分のしたいことを見つけて欲しいと思います。
    ―自分の“好き”を見つけてその道にすすむのがやはり楽しいのではと思います。今はまだ自分の好きなことが見つからなくても、なんとなく進んでも、精一杯やっていけばいつか好きなものが見つかることを願っています。