2024年2月18日(日)に、「第3回 女子中高生向けリーダーシップセミナー リケジョ・イノベーション ~理系女性起業家が語る、リケジョの可能性~」を開催いたしました。
オンライン開催で、全国各地から沢山の方々にご参加いただきました。今回のイベントでは、中高生の皆さんに、正解のない未来に挑むチャレンジ精神や、理系女性の幅広いキャリアの可能性を実感していただくことを目的としております。総合司会は横田 響子様(株式会社コラボラボ 代表取締役)にご担当いただきました。
ゲスト トークセッション
一人目のゲストは、笹原 えりな様(ウィズアプリシエイト株式会社 代表取締役)です。笹原様は大学にて情報学を専攻し、卒業後はロンドンへ留学されました。帰国後にカラーコンサルタントを経てシステムエンジニア(SE)となり、企業のインフラ整備の経験を積まれました。2019年に起業し、現在は“すべての人にデジタルリテラシーを”を大切に、中小企業向けにITサポートやDX推進などの支援を行われています。
幼少期の頃から好奇心旺盛だった笹原様は、習い事や勉学に熱心に取り組んでおられました。幼少期に公文を通じて、自身の努力次第で次の学年へとステップを上げられることに面白みを見出し、学生時代に数学を通じて、論理的に考えて美しい解法を導き出すことに興味を抱かれました。大学進学の際に、IT革命の社会の波を感じて情報系学科に進学されました。その後、大手企業の派遣社員として世の中との繋がりを学びながら、システムインテグレーター会社(SIer)やコンサルティング会社へと転職しましたが、自身の目指す働き方とIT業界の社風にギャップを感じ、独立へと至りました。
物事を掘り下げて論理的思考力を養い、筋道立てて行動・発言できるというのは、理系ならでは特徴ですし、理系に進学した利点でもあると述べられていました。
最後に、中高生の皆さんへ激励の言葉をいただきました。「うまくいかないこともありますが、諦めずに続けて頑張ってください。成功者には数えきれない失敗がつきものです。少しずつ成功体験を積みながら、夢を捨てずに努力してください」
二人目のゲストは、簾藤 麻木様(一級建築士事務所nenlin 代表取締役)です。簾藤様は大学・大学院にて建築学を学んだのち、建築設計事務所に10年間勤務して経験を積まれました。2018年に起業し、現在はケア視点の建築設計や企画、プロジェクトマネージャーを手掛けるほか、全国からケアの日用品を集めたデザインストアねんりんを運営し、大学や企業での勉強会にて講師としての公演活動もされています。
簾藤様は、7歳から22歳までパーキンソン病のご祖母様の介護に携わった経験から、介護のあり方に疑問を抱かれました。三度の転機を経て、現在の事業に至ったとのことです。一度目の転機は高校生の時です。物がうまく使えず、自己否定に陥ってしまう要介護者の要因は、ものづくりの設計そのものにあると痛感されました。数学に苦手意識を持ちつつも、教師の助言を頼りに理系の道に進学することを選ばれました。二度目の転機は、建築事務所に所属されていた時です。エンドユーザーの顔が見えないことに気づいたことを機に独立し、現場に寄り添った企画提案に注力されました。三度目の転機は、より他の事業とも掛け合わせて幅広い支援を行いたいと思われた時です。ご自身で設計することを手放し、次世代へとこの考えを広めることを目標に、講師としての活動を始められました。
簾藤様は、強みは掛け算で構成されると考えられています。「私よりも優秀な建築士は数多く存在しますが、建築×医療福祉×日用品×講師の強みを持つのは私だけです。そうやって、皆さんもご自身の強みを磨いて行ってください」と締めくくられていました。
パネルディスカッション
『就職にも起業にもつながる理系選択~理系の学びから社会を変える~』
パネルディスカッションでは、オンライン上で寄せられた参加者からの質問に、ゲストのお二方およびモデレーターの横田様にお答えいただきました。発言やチャットを通じて、参加者とゲストの間で活発なやり取りが行われました。ディスカッションの一部をご紹介します。
・起業する前に、会社員の経験を積んでおいたほうが良いのでしょうか?
―一度大きな組織に属したことで、様々な人との関わりかたを学ぶことができました。そういった面では、経験を積んでおくのも一つの手かと考えます。
―学生のうちに起業し、就職して組織の一員となり、その後また起業…といった例も耳にします。どちらの働き方でも長所短所は必ずあるので、両方を経験したうえで好きな道を選んだほうが、視野が広がって良いと思いますね。
・起業して良かったことはなんですか?
―自身で仕事が選べることです。内容や取引の規模などを自由に決められるので、空いた時間を自分のために有効に活用できます。自分自身を大切にできるので、結果的に周りの人たちにも優しく接することができるようになったと思います。
―人と出会う機会が増えたことです。独立すると孤独になると思われがちですが、むしろ組織に属していた頃よりも人脈が広がりました。多くの出会いから、多様な価値観や考え方を学ぶことができたのは良いことだなと実感しています。
・将来やキャリアプランニングについて、今の中高生にどういったことを伝えたいですか?
―興味のあるものにまっすぐ進んでいってください。スキルを磨き、諦めずに継続することが何よりも大切になります。
―学生のころは目の前の現実で手一杯になりがちですが、どうか焦らないでください。人生の中では、学生よりも社会人でいる時間のほうがずっと長いです。自分の強みに自信がなくとも、今後どんどん持ち札は増えていきます。生涯をかけて何に取り組みたいのかを考えることを重視してください。
最後に横田様から、中高生の皆さんに向けたメッセージをいただきました。「人生百年時代。学生の皆さんには、まだまだ未知の可能性が眠っています。幅広い選択肢の中から、自分の進みたい道を選んでください。そのためにも、様々な大人と出会い、様々な意見に触れることが重要になります。自分が素敵だなと思う方向を信じ、柔軟に行動できることを願っています。」