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2025年8月6日(水)・7日(木)に日鉄ソリューションズ株式会社(略称:NSSOL)と共に「お茶の水未来ラボ〜イノベーションと技術の冒険〜」を開催いたしました。対面開催で、小学生から高校生までを対象として、多くの児童・生徒、保護者の方にご参加いただきました。日鉄ソリューションズ株式会社は、寄附講座として「ITと産業界」をテーマとした講義をお茶の水女子大学で行なっています。また、お茶の水女子大学のネーミングライツ・パートナーです。

今回は、共通講義棟3号館のNSSOL IS-Roomを中心に日鉄ソリューションズ株式会社が提供するIT技術の体験ブースをまわるスタンプラリーを行なった後、在学生との懇談やお茶の水女子大学構内を巡るキャンパスツアーを実施しました。

まず、体験ブース「デジタルヒューマン」では、デジタル画面で日鉄ソリューションズ株式会社の社長が参加者を出迎えます。これはAIに社長の音声や会社についての情報を学習させて応答させているそうです。質問に対応して、自動生成された音声と一緒に身振りも交えた映像が流れ、近未来的な体験でした。社長の趣味などのパーソナルな情報も学習しているため、応答の幅が広く、いろいろな質問を投げかける参加者がおり、好評でした。

 

次に、体験ブース「スマート農業(農作物自動判定)」では、農作物の規格の判定に画像処理を用いた技術の紹介を行なっていました。この技術ではそれまで熟練者の経験が頼りであった規格ごとの分類作業を、機械に通せば誰でも素早くできるようにした点で画期的だそうです。展示内での体験では、様々な形状のサツマイモを実際に機械に通して、判定結果を見ることができました。

体験ブース「デジタルツイン(スマート工場)」では、本イベントが開催されている会場がデジタル上に再現されていました。このようにデジタル上に複製された空間と、荷物に貼り付けたQRコード、固定のカメラを組み合わせることで、「現実空間のどこに、何があるか」をデジタル上で複製することができるようになります。そうしたデジタル上における「現場の可視化」に加えて、過去の位置情報の記録、未来の計画の可視化もできるといいます。また、デジタルの強みを活かすことで、現実空間の物を検索可能にするとともに、URL等での連携も可能であり、情報を視覚的にわかりやすく集約させることができます。この技術は建築現場や工場などにおける情報共有や引き継ぎを円滑化することが期待されるそうです。

 

体験ブース「最適化ワークショップ」ではペントミノ(5つの同じ大きさの正方形を繋げた形)のパズルをパソコン上で行いました。今回の体験では、全部で12ピースがある内、一定数のピースを埋めた状態でAIが出題し、残りの様々な形状のピースを自力で埋めていきました。参加者の方々はなかなか苦戦していらっしゃいました。この「最適化」の技術を応用すると、電車の時刻表の作成や、時間割の作成、試合の対戦表の作成など、人力で大量に作成しようとすると手間のかかる作業を、正確かつ効率的に進められるといいます。

体験ブース「溶接バーチャル体験」ではVRゴーグルを着用し、VRと連動した溶接ガンを手に持って、溶接の体験を行いました。この体験では、熟練者の溶接の姿勢・スピード・動作などのデータを学習させたシミュレーターを用いており、そのデータを元にして点数が出るので、ゲーム感覚で楽しむことができます。このようにVRゴーグルと熟練者のデータを組み合わせることで、経験がものをいう職業における訓練を、資源を無駄にすることなく、安全かつ効率的に行うことができます。熟練者が高齢化し、後継者も減少している技術を次世代に受け継いでいくことにも貢献できる技術です。

これらの体験ブースを通じて最新技術に触れ、それが社会でどのように役立っているのかを楽しく学べる機会になりました。

また、併設の形でお茶の水女子大学の在学生との懇談の場も設けられており、在学生の経験談を聞くことができました。受験科目や専門分野の選び方などの高校生特有の悩みについての相談も多く、大学受験の参考になったのではないでしょうか。そして最後に、30分程度で構内をまわるキャンパスツアーが開催されました。Ochadai学生アンバサダーを案内役として、大学生協や大学本館、総合研究棟などを見学したほか、附属図書館の中にも足を伸ばしました。

お茶の水女子大学の学生との交流やキャンパスツアーも進路について考える良い機会になったのではないかと思います。本イベントが理工系により関心を持つきっかけになれば幸いです。