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第55回リケジョ-未来シンポジウムを開催いたしました。

2026年3月22日(日)に「第55回リケジョ-未来シンポジウム サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。オンライン・対面のハイブリッド開催で、全国の女子中学生、女子高校生、保護者の方にご参加いただきました。

はじめに、理系女性育成啓発研究所の加藤美砂子所長から、「やりたいことをやろう-理工系分野を学ぶ-」というタイトルで、日本の理系女性人材の実情や、アンコンシャス・バイアスに惑わされずに自分が面白いと思う分野を専攻すると道は拓けるというメッセージをいただきました。

また、日本航空株式会社人財本部人財戦略部の原田貴史様から、ジェンダーギャップを解消し、女性の活躍を推進する、会社での取り組みをご紹介いただきました。

講演の部では、日本航空株式会社の上野 新葉様、株式会社JALエンジニアリングの有馬 もえ様にご講演いただきました。

講演の部

上野 新葉様(情報)  日本航空株式会社 デジタルCX企画部CX企画グループ

『「なんとなく」や「楽しそう」で選んだ道が、今の自分につながるまで』

上野様は明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科を卒業後、同大学院博士前期課程の同専攻を経て、日本航空株式会社に入職されました。技術を通じて作業を効率化させ、人がより楽しく有益なことに使える時間を作り出すことを通じて人を喜ばせることに関心を持って、現在はデジタルテクノロジー本部で活躍されています。

上野様は幼少期の頃から理科や算数、パズルなどを好んでいました。その傾向は高校生のときも続いていて、進路選択にあたって理系にすることに迷いはなかったといいます。大学受験の際には、志望校に迷い、学費も安い国立で教員免許を取得して手に職をつけるか、たまたま広告で見つけた私立の新学部にするかを悩まれたそうです。結果として、楽しそうだと思っていた私立の新学部に進学されました。

大学では3Dプリンタを用いてタッチ可能なオブジェクトを作る研究をしていらっしゃいました。大学院修士課程では分野を変えて、電気刺激によって味の濃度が変化して感じられる現象を題材に研究を始められました。企業との共同研究や国内外での学会での発表も経験し、充実した研究生活を過ごされていました。しかし、博士課程への進学ではなく就職を選ぶことにされました。就職活動では逆求人で他社からの内定を得ていましたが、あまり納得できていませんでした。そのため、以前から憧れを抱いていた日本航空株式会社を受けられました。そして自分の強みをアピールする特殊な選考を突破し、入社するにいたりました。

現在の仕事では、航空券や予約の管理システムなど、会社を支えるシステムの運用や、データ分析、航空業界の今後の将来予測など、デジタルを用いて会社に貢献していらっしゃいます。

最後に、自身の大学受験や就職活動を振り返って、思い込みにとらわれずに直感を信じてみるのも一つの決断としていいのではないか、とおっしゃっていました。


 

有馬 もえ様(情報)   株式会社JALエンジニアリング 技術部技術企画室客室仕様・技術グループ

『理系で進む、その先へ:情報系出身の私がJALで働くまで』

有馬様は明治大学総合数理学部を卒業後、日本航空株式会社に入職されました。最初に整備に携わったのち、電気・装備品を扱う仕事を経て、現在は客室仕様のマネジメントに携わっていらっしゃいます。

有馬様は小学生の頃から算数や理科などの科目を好んでおり、文理選択は中学校3年生の時に悩んだそうですが、理系に行くことを決心されました。理系を選んだ理由としては、幅広い進路選択ができるというイメージがあったからだといいます。そして、大学受験にあたって専攻を選ぶ際に、好きなことを仕事にしたいと思い、IT系学科を選ばれました。もともと旅行や空港が好きで、航空業界には漠然と憧れがあったそうです。志望する航空・宇宙分野のみならず、ヘルスケア、金融、農業など、学んだことを活かせる幅が広いと感じたのもIT系学科を選んだ理由でした。

大学では数理工学・情報工学などを学ばれたのちに、ロボットシステムの研究室に所属し、スマートフォンの加速度センサを用いた睡眠計測アプリの開発を行なっていました。就職活動では、以前からの航空業界への憧れを全面に出し、入職され、夢を叶えました。

現在携わっている客室仕様開発には、計画からデザイン、製造、機体への取り付けなど、実際にサービスとして提供されるまでには多くの工程が含まれています。進めていく上では部品調達や仕様の決定にあたって違う部署との連携も必要です。担当されているマネジメント業務では、他部署の要求と擦り合わせてより良い客室を作り上げることに邁進していらっしゃいます。

現在の仕事は、学生時代勉強したこととは全く異なっていますが、理系に進んだことによって身についた論理的思考が活かされていると感じる、とお話しされていました。

質疑応答

講演後には質疑応答の時間が設けられ、参加した中高生から多くの質問が寄せられました。「情報系を選んだきっかけ」への問いに対し、オープンキャンパスで見学して楽しく興味があった、就職の選択肢が広がると思った、と回答されていました。「進路に対する親のスタンス」については、お二人とも親には見守ってもらい、決定を後押ししてもらったとおっしゃっていました。また、中学・高校では行事や部活動、友人との交流など、学業以外の今しかできない経験も大切にしてほしいというアドバイスをされていました。お二人がご自身の経験を踏まえて率直に答えてくださり、進路への不安が少し軽くなったのではないでしょうか。

懇談会(対面)

対面での参加者を対象にした懇談会では、講演者のお二人と直接コミュニケーションできるということでさらに質問が寄せられ、和やかな雰囲気で進みました。講演者のお二人は丁寧に回答してくださり、参加者のみなさんにとってリケジョのイメージをより広げ、深められる場を提供できたのではないかと思います。今回のイベントを通じて、理系に進学しようかどうか迷っている女子中高生の背中を少しでも押すことができれば幸いです。