2020年9月22日(火・祝)に、オンラインにて第24回リケジョ-未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。今回も前回と同様オンラインでの開催ということで、全国各地の方々にご参加いただきました。
講演の部は、(一財)知的財産研究教育財団 知的財産研究所 柴田紗知子様、三菱商事ライフサイエンス株式会社 小森絵美様にご講演いただきました。
司会進行は、本機構副機構長の加藤美砂子教授が担当いたしました。
講演の部
柴田紗知子様(物理学)(一財)知的財産研究教育財団 知的財産研究所
『知的財産の仕事の魅力』
中高生時代は物理が苦手だったという柴田様ですが、勉強していくうちに物理学の面白さに気付き、より一層物理学を勉強したいという思いから物理学科に入学されたそうです。将来は英語を使う仕事がしたいと考えていた折に、大学院の授業で弁理士という職業を知り、理系の知識と英語力が求められる点に惹かれて特許事務所に就職なさいました。
弁理士というのは知的財産(特許や意匠、商標のような財産的価値のあるもの)を扱うお仕事で、理系出身者が8割を占めているそうです。実際の切り餅の特許侵害事件のエピソードを交え、特許の文章を正確に読み解く難しさと知的財産を扱う面白さを教えていただきました。
最後には参加者の皆さんに向けて、好きな学問を学んでほしいというメッセージをいただきました。最初は苦手だった物理から目を逸らさず、好きな英語と理系の知識を活かして活躍なさっている柴田様だからこそのお言葉だと感じました。
小森絵美様(生物学)三菱商事ライフサイエンス株式会社
『今の私を作ったもの』
食品メーカーで商品開発のお仕事をされている小森様は、主にコンビニ向けの商品をこれまで100品以上担当されたそうです。お仕事には、こんな商品を作りたい!という要望と、こんな問題を解決したい!という要望の2種類があり、それぞれについてどのように形にしていったのかを具体的な商品を挙げて教えていただきました。こんな商品を作りたい!という要望には、商品作りのコンセプトを理解しつつ、低コストで美味しく作ることを心がけているそうです。こんな問題を解決したい!という要望には、肉や野菜が乾燥しないよう糖で保水したり、豆腐やゼリーなどが離水して外見や味を損なわないようコーティングしたりして、課題を解決なさっていました。理系を選んで良かったという小森様のお言葉が印象的で、論理的な思考や実験の組み方など学生時代に培った理系の強みが今のお仕事に活かされているそうです。
最後に参加者に向けて、好きなことに目を向けて行動に移してみようというメッセージをいただきました。他学科の授業を聞いたり、アルバイトやサークル活動を行ったりと、様々なことから吸収なさった小森様のご経験ゆえのお言葉でした。
お二人のご講演の後、質疑応答の時間を設けました。講演中あるいは講演後に、参加者の皆様に質問をチャットに書いていただきました。質問を書いた参加者は、マイクを通じて自分の言葉で講演者に直接質問を投げかけました。弁理士や商品開発職を志望している学生さんからの質問が多数寄せられ、講演者のお二人には一つ一つご丁寧にお答えいただきました。
懇談会(ブレイクアウトセッション)
閉会の後、希望者のみで懇談会を行いました。従来の対面式シンポジウムで行なっていた懇親会を、初めてオンライン式でも開催いたしました。ブレイクアウトセッションのツールを用いて2つの部屋を作り、講演者が1人ずつ部屋に入って、参加者との交流の場を設けました。参加者からの積極的な発言により、マイクを通して講演者と参加者が活発なコミュニケーションを取り合う時間となりました。