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2020年12月20日(日)に、オンラインにて第26回リケジョ-未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。今回も引き続きオンラインでの開催ということで、全国各地の方々にご参加いただきました。

講演の部は、アサヒ飲料株式会社 三谷英李様、株式会社ADEKA 岡田奈奈様にご講演いただきました。

司会進行は、本機構副機構長の加藤美砂子教授が担当いたしました。

講演の部

三谷英李様(生物学) アサヒ飲料株式会社 研究開発本部 商品開発研究所

『選んだ道を楽しめばいい』

三谷様はテレビで耳にした「トクホ」や「美味しさと健康」といった言葉に惹かれ、高校生の頃から食品業界に就職したいと考えられていたそうです。そして植物がもつ光合成による物質合成のパワーに魅力を感じ、本校の理学部生物学科に入学されました。大学時代はダンスサークルでの活動を充実されたり、大学の制度を利用してイギリスに短期語学留学に行かれたりと、様々な活動に注力されていたのが大変印象的でした。大学院で研究活動の楽しさに気付き、企業での研究職として就職することを選択されました。研究活動を通して学んだ「論理的な考え方」「成果の伝え方」「研究の進め方」は、社会人になってからも役立っており、大学院でこれらのことを学べて良かったとおっしゃっていました。入社後は、工場での製造工程の改善などを経験なさり、現在は研究所で新商品の設計や技術開発をなさっています。自分の作ったものが誰かの生活を少しでも幸せにできていることを実感できる喜びをやりがいとして業務に携わられているそうです。
最後に参加者に向けて、「たくさん悩んで自分がワクワクできそうな選択を!」というメッセージをいただきました。自分の選択に間違いというものはなく、選択した先でどれだけ「楽しみながら」努力できるかが大切であるとおっしゃっていました。はじめは大変なことでもやりがいや楽しさを見出して取り組まれる三谷様のメッセージは、これから様々な選択の場がある中高生の皆さんにとって大変勇気を届けたのではないかと思います。

 

岡田奈奈様(化学) 株式会社ADEKA 電子材料開発研究所 半導体材料研究室

『“新しもの好き”な私から私へのメッセージ』

中高生時代は理系科目が得意だったために理系を選択されたという岡田様は東京への強い憧れを持って本校の化学科に入学されました。大学ではサークルやアルバイトなど東京での一人暮らしの生活を充実させつつ、学部4年生で研究室に配属されてからは研究三昧の日々を過ごされていました。研究室では自分で「仮説→調査→合成→分析」のサイクルを回して実験を行うことに面白さを見出され、研究室生活は一番大変で一番楽しかったそうです。現在は素材メーカーの研究員として、世界中から需要がある半導体の材料の開発に携わられています。
現在の岡田様が学生時代を振り返ると、人生の大きな選択は、文理選択、大学選び、研究室選び、就職先選びの4つだったそうです。どの選択においても、自分が好きなものかどうかをベースに考えられておられ、現在の岡田様はその選択に自信を持って良かったと言えるとおっしゃられていました。そして参加者に向けて好きかどうかという選択軸をもつことを提示してくださいました。今後多くの人生の分岐点に出会う中高生にとって、大変参考になるお話になったと感じました。

 


お二人のご講演の後、質疑応答の時間を設けました。講演中あるいは講演後に、参加者の皆様に質問をチャットに書いていただきました。質問を書いた参加者は、マイクを通じて自分の言葉で講演者に直接質問を投げかけました。今回は講演者お二人とも経験なさっていた留学についての質問や文理選択についての質問が多く、お二人には1つ1つの質問に丁寧にお答えいただきました。

 

懇談会(ブレイクアウトセッション)

閉会の後、希望者のみで懇談会を行いました。ブレイクアウトセッションのツールを用いて2つの部屋を作り、講演者が1人ずつ部屋に入って、参加者との交流の場を設けました。それぞれの部屋の司会進行は、本学理学部生物学科2年生の池田陽香さんと本学大学院ライフサイエンス専攻博士前期課程1年生の永田榛花さんが担当しました。講演の部よりも少人数での実施となり、より講演者と参加者の距離が近く、活発なコミュニケーションが行われていました。