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2022年4月24日(日)に、オンラインにて第32回リケジョ-未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。今回も引き続きオンラインでの開催ということで、全国各地から多くの方にご参加いただきました。
講演の部は、株式会社乃村工藝社 勢古口遥様、キユーピー株式会社 佐藤陽子様にご講演いただきました。
司会進行は、本研究所 所長の加藤美砂子教授が担当いたしました。

講演の部

勢古口 遥(人間・環境科学) 株式会社乃村工藝社 クリエイティブ本部

『理系で学ぶ、暮らしとデザイン』

幼いころから絵を描くことが好きで、現在は空間デザインのプランナーとしてご活躍されている勢古口さんからは、美術に興味をもちながら『理系進学』を選んだ理由や、理系での学びが現在のお仕事にどのように役立っているかについてお話しいただきました。勢古口さんの進路選択に『理系進学』という選択が初めて思い浮かんだのは、高校生のときだったそうです。絵を描くことは好きでも芸術家になりたいわけではなかったという勢古口さんは、「デザイン」を学ぶことができる理工系の学部を志望するようになったそうです。その中で身近でおしゃれなイメージのあった「建築」に特に関心をもち、お茶の水女子大学生活科学部人間・環境科学科に進学されました。大学ではいわゆる理系的な学問だけではなく、建築関係の法規や建築史など、文理通して幅広く学ばれたそうです。大学や大学院での学びと研究を通して、建物やその内部の空間は人が利用して初めて価値が生まれるものであり、かっこよさやおしゃれさだけではなく、利用者みんなが安心して使いやすいことが大切であるということが大きな学びだったそうです。卒業後は空間を通して人々の生活を豊かにする仕事をしたいと考え、プランナーとして形のないものをデザインし、空間のコンセプトや空間を通じたサービス・体験を考えるお仕事をされています。大学などで学んできたことが、クライアントの為だけではなく、生活者視点に立った社会的な意義や付加価値のある企画をつくりたい!という気持ちにつながっているそうです。小さなころからのご自身の「好き」なことに加えて、理系での学びを活かしてご活躍されている勢古口さんのお話は、理系に関心をもつ中高生のみなさんの進路選択に大きなヒントとなったのではないでしょうか。

 

佐藤 陽子(食物栄養学) キユーピー株式会社 研究開発本部

『理系で選んで広がる道』

幼いころから食べることが大好きで、現在は食品メーカーで商品開発のお仕事をされている佐藤さんからは、進路選択で迷ったときに大切にしていたことや、これまでの学びが現在のお仕事にどのように活かされているかについてお話しいただきました。高校1年生のときにはじめて将来の進路について考えたという佐藤さんは、手に職をつけて自立したいという考えから、将来の選択肢がより多そうな理系に進むことを決断されました。そのときはまだ漠然と「食」に関わる仕事をしたいと考えていたそうですが、大学受験を前にして再び進路を考えたとき、部活動でマネージャーとして人を支えて感謝されることに喜びを感じた経験から、管理栄養士の資格取得を目指すことにされました。そしてお茶の水女子大学食物栄養学科に進学され、同大学の大学院で研究に打ち込まれました。卒業後は食に悩みを持つ人の支えになり、インパクトの大きな仕事をしてみたいと考えた佐藤さんは、キユーピー株式会社へ入社されました。現在は商品開発を行い、消費者自身も気づいていない潜在的なニーズを発掘して新商品・リニューアル商品の味づくりを行うなどの業務に取り組まれています。学んだことを活かしながら新しいことに挑戦してく機会が多くあり、とてもやりがいが感じられるそうです。最後に進路選択に悩んでいる参加者の皆さんに向けて『進路選択に迷ったときは①進んだ先の選択肢がより多いか、②わくわくするか、この2つを判断軸にして選ぶようにしていました。決めてからは目標に向かって逆算して準備と努力を重ねました。みなさんも後悔のないように、主体的に動いてみてください。』と前向きなメッセージをいただきました。

 

質疑応答

お二人のご講演の後、質疑応答の時間を設けました。講演中あるいは講演後に、参加者の皆様に質問をチャットに書いていただきました。質問を書いた参加者は、マイクを通じて自分の言葉で講演者に直接質問を投げかけました。今回も参加者から多くの質問があり、オンライン開催でありながら活発な交流ができました。進路選択や勉強方法についての相談、お仕事の内容についての質問など、幅広い質問が寄せられました。講演者のお二人が一つ一つの質問に丁寧に回答してくださったことで、参加者は目標達成へのヒントや理系の進路の具体的なイメージをつかんだ時間となったのではないでしょうか。

 

懇談会(ブレイクアウトセッション)

閉会の後、希望者のみで懇談会を行いました。ブレイクアウトセッションのツールを用いて2つの部屋を作り、講演者が1人ずつ部屋に入って、参加者との交流の場を設けました。それぞれの部屋の司会進行は、本学大学院ライフサイエンス専攻博士前期課程2年生の大堀智博さんと本学理学部生物学科4年生の池田陽香さんが担当しました。講演の部よりも少人数での実施となり、より講演者と参加者の距離が近く、ときには会話するような形で盛んなコミュニケーションが行われていました。