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2022年9月4日(日)に、オンラインにて第34回リケジョ-未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。今回はオンラインと対面でのハイブリッド開催ということで、全国各地から多くの方にご参加いただきました。
講演の部は、NTT研究所 鷲津優維様、三菱重工エンジニアリング(株) 山内万里花様にご講演いただきました。
司会進行は、本研究所 研究員の近藤るみ准教授が担当いたしました。

講演の部

鷲津 優維(物理学) NTT研究所 OSSセンタ

やりたいこととの出会い方

さまざまなことに興味をもって自分のやりたいことを見つけてきた鷲津さんからは、進路選択などの岐路に立ったときにどのようにして決断してきたか、理系での学びが現在のお仕事にどのように活きているかについて、お話しいただきました。
鷲津さんは、高校生のときに物理の授業が楽しくて物理の先生に憧れ、お茶の水女子大学理学部物理学科に進学されました。教職課程を経験する中で自身が理想とする教師にはなれないと感じ、その後同大学の大学院に進学されました。
鷲津さんが進路選択をするときに意識してきたのは、①「経験」から楽しいと感じた道を選ぶこと、②自身が身を置きたいと思う「環境」を選ぶこと、③自身の「将来」を考慮した選択になっていること、の3点だったそうです。
研究室選びでは、これまでの経験の中で楽しいと感じた、1.プログラミングを活用し、2. 仮説を立てて手を動かして実験で確認していくことができる素粒子物理実験の分野を選んだそうです。
就職活動では、さまざまな人と交流して刺激を受けながら研究を進めてきた大学院と似た環境で、新しい分野に挑戦したいと考え、現在はNTT研究所で高速なサービス提供のためのネットワークに関する研究開発に取り組まれています。大学・大学院で身につけた、仮説が間違っていたときに論理的に原因を考える力や自分の成果を整理して人に分かりやすく伝える力は、仕事にもとても役立っているそうです。
最後に進路に迷う参加者に向けて、「興味があれば、まずは手をつけて経験をしてみたり、将来のなりたい自分や自分が身をおきたい環境を想像してみることで、自分の進みたい道が具体的になっていくと思います。人に決めてもらうのではなく、自分自身で前向きに進路を選ぶのが、後悔しない選択に必要なことだと考えています。」と力強いメッセージをいただきました。


 

山内 万里花(生物学) 三菱重工エンジニアリング(株)プロジェクト部

“楽しそう” “やってみたい” の気持ちを大切に

小学生のころから理科が好きで、大学では微生物の研究に打ち込んできた山内さんからは、進路選択のたびに悩みながらもワクワクする道を選び、現在の海外プラント建設のお仕事につながってきたというお話をしていただきました。
山内さんは生物学で世の中の根底を支えるような仕事をしたいと考え、お茶の水女子大学理学部生物学科に進学されました。大学では授業の中で仮説を立てて実験で検証し、成果を発表するという研究のプロセスの楽しさに触れ、同大学大学院に進学され、バイオ燃料生産につながる藻類の研究に打ち込みました。
卒業後は博士後期課程に進学して研究の道に進むか、企業に就職をするか悩んだそうですが、それぞれの道で実現したい自分の夢について考えることで「やりたいこと」の共通点に気づき、「海外に出て大きな成果を成し遂げたい」という夢を生物学科卒という肩書にとらわれずに挑戦してみようと決意したそうです。
そして現在は大規模な化学プラントの建設に携わっていらっしゃいます。化学プラントはエネルギーや原料となる物質・化学品などを生み出し、私たちの生活を支えています。業務の中ではさまざまな分野の人と協力することが多いため、生物学に限らず、理系分野に進んで学んだことや経験したことが活きているそうです。
進路選択のたびに悩みぬいて進む道を決めてきた山内さんからは、「これから進路を決めていく中高生の皆さんは、自分の“楽しそう”、“やってみたい”、の気持ちを大切にしてください。理系分野に進んだことで、技術者の一人として社会で仕事ができるのは幸せだと感じています。今日の私の話の中で“共感できるところ”や“自分とは違うなと思うところ”は、将来の進路選択のキーポイントとなると思うので、ぜひ意識してみてください。」と進路に迷う参加者の後押しをしていただきました。


 

質疑応答

お二人のご講演の後、質疑応答の時間を設けました。
講演中あるいは講演後に、参加者の皆様から挙手またはチャットから質問をお寄せいただきました。今回も対面会場・オンライン双方の参加者から多くの質問があり、ハイブリッド開催ならではのにぎやかな交流ができました。
中高生の参加者からは進路選択や勉強方法についての相談や大学での学びについての質問があり、保護者の方からも進路選択のときの声掛けなどについて質問をいただきました。講演者のお二人が一つ一つの質問に丁寧に回答してくださったことで、参加者は目標達成へのヒントや理系の進路の具体的なイメージをつかんだ時間となったのではないでしょうか。

懇談会(対面)

閉会の後、対面会場の希望者のみで懇談会を行いました。講演の部よりも少人数での実施となり、より講演者と参加者の距離が近く、進路や勉強方法についてなど、より相談しやすい機会となったのではないでしょうか。ときには会話するような形で盛んなコミュニケーションが行われていました。