2019年11月3日(日)に第6回先端科学セミナーをお茶の水女子大学で開催しました。今回は「おもしろい生き物の話」をテーマにして、2名の先生にお話していただきました。
最初の講演は、山中明先生(山口大学大学院創成科学研究科 教授)による「お茶大COLLECTION FALL/WINTER2019・SPRING/SUMMER2020 ―チョウの最新ファッションを読み解くー」でした。同じチョウであっても、成虫の羽の模様には春型と夏型があること、そのファッションを決めているのは幼虫の時に感じる日長や温度であることを聞いて驚きました。また、成虫で越冬するチョウの翅には多くの毛が生えていて寒さを防いでいることも印象的でした。昆虫の内分泌ホルモンのはたらきについても理解することができました。山中先生が自らお描きになったチョウのイラストを使った説明はとてもわかりやすく、昆虫についてもっと知りたくなりました。
次の講演は、田川訓史先生(広島大学大学院統合生命科学研究科附属臨海実験所 所長)による「海の珍しい動物ギボシムシやムチョウウズムシ」でした。田川先生が研究をされていたハワイの研究所の写真や、海岸の砂を掘ることによってギボシムシが出てくる動画を使って、田川先生はギボシムシの生態や特徴を熱く語られました。ギボシムシは、動物の中で新口動物という分類群に属しています。新口動物には半索動物(ギボシムシなど)、棘皮動物(ウニなど)、脊索動物(ヒトなど)の3つの動物門から構成されていて、ギボシムシの比較ゲノム解析の研究は新口動物の起源を探ることにつながります。最後に、広島大学臨海実験所の前の海岸の砂浜にも生息している、ムチョウウズムシという原始的な不思議な生き物についても紹介されました。
今回のセミナーでは、講演の後の質問がとても多く、活発な質疑応答が行われました。今まで知らなかった生き物の秘密に迫ることができ、楽しい講演会となりました。