2020年1月11日(土)に第7回先端科学セミナーをお茶の水女子大学で開催しました。今回は「動物細胞の“かたち”は様々に変化する」をテーマにして、宮本泰則先生(お茶の水女子大学理学部生物学科 准教授)によりお話ししていただきました。
講演は、講義と実習により進行され、動物細胞のかたちについての理解を進める内容でした。動物細胞は、植物細胞のように細胞壁がないため、細胞膜だけで囲われています。宮本先生が用意された細胞(ハムスター胎仔腎臓由来の細胞)を観察するところから講演が始まりました。この細胞は、かたちが大きく変わることが知られています。受講されている中高生に教科書でしか見たことがない細胞を、顕微鏡で実際に細胞を観察することができ、細胞が細長く伸びている様子や細胞核や核小体に関心を持ってみていました。その後、細胞培養をどのように行うかの話に引き続き、接着剤としてはたらいている細胞接着分子フィブロネクチンがどのような構造をもって接着剤としてはたらいているかを宮本先生が話されました。
休憩をはさみ、培養されている細胞がプラスチックに接着しているのを消化酵素であるトリプシンではがすことを行いました。トリプシンを作用させるとそれまで細長かった細胞が丸いかたちにかわる様子に受講生の方々も驚いていました。丸い形になった細胞を回収して、フィブロネクチンを改めてコートした容器とそうでない容器に細胞をまいて、10分後、30分後、60分後に観察しました。時間とともに、細胞のかたちが、フィブロネクチンによって変わる様子を熱心にスケッチしていました。
最後に、細胞接着という現象が細胞の移動に関わっていること及び再生医療にかかわる話を聞きました。単なる講義だけでなく、実際に動物細胞のかたちが変わる様子を見ることができ、受講者の方々はとても充実しているようでした。実験中の質問を活発に行われ、とても関心を持ってくれたようで、有意義なセミナーを持つことができました。