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第56回リケジョ-未来シンポジウムを開催いたしました。

2026年4月26日(日)に「第56回リケジョ-未来シンポジウム サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。オンライン・対面のハイブリッド開催で、全国の女子中学生、女子高校生、保護者の方にご参加いただきました。

はじめに、理系女性育成啓発研究所の加藤美砂子所長から、「やりたいことをやろう-理工系分野を学ぶ-」というタイトルで、日本の理系女性人材の実情や、アンコンシャス・バイアスに惑わされずに自分が面白いと思う分野を専攻すると道は拓けるというメッセージをいただきました。

 

講演の部では、株式会社資生堂の高村 愛様、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の北口 景子様にご講演いただきました。

講演の部

高村 愛 様(心理学)  株式会社資生堂

『理系?文系?気にせず自分の興味のままに』

高村様はお茶の水女子大学大学院博士後期課程を修了後、株式会社資生堂に入社されました。大学では心理学を専攻し、「どんなものが欲しいのか?」「どうしてそう思うのか?」といった消費者心理を研究されてきました。株式会社資生堂では大学での研究を生かして、インタビューやアンケート、データ分析などの手法を駆使して化粧品の市場調査を行なっていらっしゃいます。

中学では数学や英語を得意としていて、興味も理系だったといいます。沼津の深海博物館などに好んで行かれていたそうです。高校では実験がたくさんできると聞いて理数科に進学されました。しかし、そこで大きな転機が訪れます。友達が不登校になってしまったことをきっかけに心理学に興味を持つようになり、高校2年生で文系への進学を決意しました。

心理学は文系学部の一部として専攻が設けられていることがほとんどですが、データ分析など数学の統計的な知識を用いる機会も多いそうです。大学では特に「どうして痩せたいと思うのか?」という疑問を元にファットトークに関する研究を行われました。心理学を勉強して、好きなことを存分にでき、データ分析の知見を得られたのはとてもよかったとおっしゃっていました。

高村様はこれまでの自分の専門を振り返ると、理系か文系か、自分でも、人からもどちらなのかはっきりとはわからないといいます。しかし、周りの人にどう言われるかは気にせず、興味のあることをやることが学部選択の上でも、職業選択の上でも重要だとおっしゃっていました。

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【理系女性育成啓発研究所からの補足】

現在は、お茶の水女子大学に2018年度に開設された生活科学部心理学科(https://www.hles.ocha.ac.jp/ug/psy/index.html)で心理学を専門に学ぶことができます。——————————————————

 

北口 景子 様(情報科学) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社知的財産コンサルティング室 副主任研究員・弁理士

『軸を育てて、やりたいことを選べる自分へ』

お茶の水女子大学大学院博士前期課程を修了後、民間会社の技術営業や特許事務所での勤務等を経て、現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社で知的財産専門の研究員として勤務されています。

北口様は大学院では情報科学を専攻し、特に情報理論やデータ分析を扱っていらっしゃいました。この時に培った専門性が弁理士資格の取得や現在の仕事の上で役立っているそうです。しかし、最初から知的財産の専門家を目指していたわけではなく、弁理士を目指すようになったのは大学4年生になってからだったといいます。

理系への興味というよりも、趣味のサッカー観戦をきっかけにして高校生の時にスポーツ医学をしたいと思い、医学部を目指されていました。しかしそれを変更し、受験先を選択した時にお茶の水女子大学の理学部情報科学科が候補にあがったのだといいます。何か専門を身につけた方がいいという周囲のアドバイスもあって、情報科学を専攻しました。

情報科学への適性などで悩まれる中、弁理士という仕事を知ったといいます。自分自身が研究者に向いていなくとも別の形で今までの知識を生かして役に立つことができると思い、弁理士資格を取ることや、それに役立つ経験をすることを軸として就職先を選択されました。

北口様はご自身のキャリアを踏まえて、専門を持ってキャリアを積み重ねていくことで、転職などで少しずつ方向性を変えながらも、自分なりの軸を持って働き続けることができているとおっしゃっていました。そのため、大学や大学院で特定の専門性を身につけることができたのはよかったと振り返られていました。

 

質疑応答

講演後には質疑応答の時間が設けられ、参加した中高生から多くの質問が寄せられました。「文理にとらわれず好きなことを見つけるために中高生でやった方がいいこと」への問いに対し、身近な人に話を聞いたり本を読んだりするなどアンテナを張っておくことや、やりたいことが見つかった時にその進路に進めるように勉強しておくことが大事とのことです。また、「やりたいことが見つけられないが、苦手なことや好まない分野がある場合、そうした消去法的な方向性で将来を決めてもいいのか」という質問に対して、大人になってもやりたいことが見つからない人というのは多いので、気にし過ぎることはなく、嫌いなことや苦手を避けるというのもいい選択だと回答されていました。しかし、やりたいことはあるが苦手という場合はやりたいことを優先すべきというアドバイスをされていました。「やりたいこと」があるのは素晴らしいことですが、無くても気負いすぎることはないとお二人はおっしゃっていました。

 

懇談会(対面)

対面での参加者を対象にした懇談会では、講演者のお二人と直接コミュニケーションできるということでさらに質問が寄せられ、和やかな雰囲気で進みました。特に就職活動の上で専門を活かして就職するための企業の選び方や、実務の上で大学での学びがどの程度役立っているのか、実際に働いている人からしか聞けない生の声を聞くことができ、参考になったのではないでしょうか。