2023年11月5日(日)に、第41回リケジョ⁻未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。本シンポジウムは、オンラインと対面のハイブリッド開催ということで、現地オンライン共に全国各地から沢山の方々にご参加いただきました。
講演の部では、株式会社三井住友銀行 デジタル戦略部 落合優花様、森永製菓株式会社 研究所 健康科学研究センター 塚本咲翔様にご講演いただきました。司会進行は、本学の伊藤瑛海特任助教が担当いたしました。
講演の部
落合 優花 様(数学) 三井住友銀行 デジタル戦略部
『 “強み”を軸に考える 』
落合様は本学の数学科をご卒業後、三井住友銀行に就職されました。現在はリテールIT戦略部でご活躍されています。
落合様は自分をよく知り、分析することでゴールを設定すること、特に自分の強みを知り、それを生かしていくことが大切だとお話ししてくださりました。
高校時代は数学以外にも国語や社会が得意だったという落合様は、将来やりたいことが絞り切れなかったそうです。最終的に「学んだ先の選択肢に汎用性があるものを学びたい」というゴールを設定し、数学科を卒業されたご両親の影響も受けて本学の同学科に入学されました。
落合様にとって大学は好きなもの、得意なものを磨き、さらに増やしていく場所だったそうです。大学時代は学科の専攻を勉強するだけでなく、教職課程の履修、サークル活動、アルバイトなど様々な経験をされました。これらから、論理的思考、コミュニケーション能力を身につけることができたといいます。大学卒業を前に進路を選択する際、「日々の暮らしの中でちょっとした便利を届けたい」という思いを抱いていたことから、企業就職を考えました。また、自分の「強み」を生かせる仕事につきたいと考え、論理的思考を評価してくれていた三井住友銀行への就職を決めました。
入社後は支店業務や法人を顧客とした銀行業務、アプリ開発など様々な部署に配属され、ご活躍されています。
落合様は、「自分自身を分析して目指すべきゴールを決めることが大切。自分がもっている強みを軸に考えていく必要がある」とおっしゃっていました。「自分が決めたゴールに向けて、自分の強みを効果的に使って実現させなければならない。そして、技術だけでなく、経験も「自分の強み」になり得る。」とお話ししてくださりました。
落合様のメッセージは進路選択で悩む中高生が新たな気づきを得られるものだったと思います。
塚本 咲翔 様 (食物栄養学) 森永製菓株式会社 研究所 健康科学研究センター
『 アスリートを支える仕事って文系?理系?』
塚本様は本学の生活科学部食物栄養学科で博士課程を修了し、現在は森永製菓株式会社 研究所 健康科学研究センターでご活躍されています。
幼少期からバレエやテニスを習い、高校ではバトミントン部とハンドボール部を掛け持ちするほどスポーツが大好きだという塚本さんはアスリートを支える仕事に就きたいという思いがあったそうです。当初は文系のスポーツ医学の道を目指していたそうですが、高校3年生のとき、マラソンの高橋尚子選手のチームQの存在を知ったことをきっかけにスポーツ栄養に興味を持ったそうです。管理栄養士としてアスリートを支えていきたいと考え、進路を理系に変えることを決意しました。しかし、理科の科目を高校でほとんど履修していなかったため、一部の科目は独学で受験に挑戦することになりました。1浪を経て、本学の食物栄養学科に入学されました。塚本さんは、浪人は大変なイメージがあるけれど、高校時代に部活に打ち込んでいた分、勉強を基礎から見直すことができ、将来の仕事に対しても視野を広げられる機会になったと前向きに話していらっしゃるのが印象的でした。
本学の修士課程修了後、博士課程への進学と同時に管理栄養士として森永製菓のトレーニングラボに就職しました。結婚や博士課程修了を経て、現在は森永製菓株式会社 研究所にご勤務されています。
中高校生へのメッセージとして、林修さんの「大切なものはやりたいことよりできること」という言葉を紹介されていました。何かをしたいというのは環境や時代で変わる偶然のことだけれど、自分ができることは偶然のことではないからこそ、進路に迷ったら、できることを大切にしてみて欲しいとお話ししてくださりました。
そして、最後に「チャレンジをすればきっと周りの人が助けてくれる」「アスリートが大切にしている言葉は3つの“あ”。あせらず、あわてず、あきらめないこと」、またご自身の経験から「3足のわらじを履くようにいろいろなことに挑戦してほしい」と話してくださりました。
部活や勉強の両立、進路に悩む中高生の背中を押すようなご講演でした。
質疑応答
お二人の講演後、質疑応答の時間を設けました。講演中あるいは講演後に、参加者の皆様から挙手またはチャットから質問をお寄せいただきました。今回も対面会場・オンライン双方の参加者から質問をいただき、ハイブリッド開催ならではのにぎやかな交流ができました。参加者からは現在の仕事内容に関する質問や大学時代の経験で役に立ったことなど、様々な質問が寄せられました。
懇談会(対面)
閉会の後、対面会場の希望者のみで懇談会を行いました。より近い距離で講演頂いたお二人とお話しすることができ、活発にコミュニケーションがとられている様子が見られました。栄養士の道に進むことに関心がある高校生の相談にお二人が親身に答えていらっしゃる様子が印象的で、参加者の皆様も進路の決め方や仕事の内容についてより深く相談できる場になったと思います。