2020年12月12日(土)講義:13:30~16:40

「対話で楽しむ美術鑑賞/女性アーティストの歴史」
林 有維〔本学 グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー〕

 1時間目は実際に鑑賞ワークショップが行われました。講義では「コロナ禍のいまこそアートを!」をテーマに、ミュージアムの楽しみ方が伝えられました。

講師は、日常的にアートを楽しみながら学ぶ概念として「アート・アクティブ・ラーニング」を提唱しています。ミュージアムを受け身で鑑賞するのではなく、自分の興味から主体的に楽しむ方法です。実際のミュージアムツアーの例として「着物ツアー」(実際に着物を着て、着物が表象された作品を観に行くツアー)等を挙げて説明が行われました。また、「アートブッククラブ」では、絵本でアート作品を鑑賞しその後制作を行います。子ども達が楽しむ様子と作品の紹介が行われました。ゲストにオンラインプログラム「アートものまね」共同開発者である、武井万里奈氏(本学生活科学部心理学科3年生)を迎え、彫刻作品の真似をしながら頭と体をほぐしました。

 2時間目は「女性アーティストの歴史」について、「なぜ偉大な女性芸術家は現れないのか。」というリンダ・ノックリンの論文を皮切りに美術史を概観し、現在の日本とアメリカの状況の比較を行い、ゲリラ・ガールズを始めとした注目すべき女性アーティストの紹介を行いました。

ゲストとして、本学OGの正路佐知子氏(福岡市美術館学芸員)がオンラインで参加してくれました。現在開催中の展覧会「纏うわたし、見るわたし-やなぎみわとリサ・ミルロイ」展について、2人の女性アーティストの展覧会をどのように考えて組み立てたのか、解説が行われました。塾生からは活発に質問が寄せられ、展覧会における学芸員の重要な役割について認識する機会となりました。展覧会URLは以下となります。
「纏うわたし、見るわたし-やなぎみわとリサ・ミルロイ」展
https://www.fukuoka-art-museum.jp/exhibition/yanagi/

講義を受講し、塾生から以下のような感想が寄せられました。
「正路さんのお話から女性アーティストの立ち位置や、学芸員の方の表からは見えない大変さも伺い知れて、とても新鮮でした。」
「大人も子どもも、アートや美術館を身近な存在にできたら、もっと豊かで多面的な思考や行動ができるようになるのでは、と思いました。」
「美術が様々な観点から物事を見る、考えることに非常に有益であることが分かりました。企画展を目当てに美術館に行くことがほとんどですが、絵画が多く、今回彫刻や野外での作品も多く紹介いただき、今後そういった作品も見て理解を深めたいと思います。」
講義後も「日本美術の作品をどう鑑賞していくか」など様々な話題で盛り上がり、アートにまつわる話題は尽きませんでした。

(文責:特任アソシエイトフェロー 林 有維)