2021年5月29日(土)11:30~13:00
田邉 恵子氏(国内航空会社情報システム部門担当/徽音塾第一期生 徽音塾OG会代表)

常々「徽音塾の塾生の方々が、その後どのように生きているか、お互いの気軽な報告会のようなものをネットワーキングランチでできれば」とおっしゃって下さっていた田邉さん。
それならば田邉さんご自身のお話をまずお聞きしたいのですが!と打診したところ、ご快諾いただけました。お忙しいところ、短期間でご用意いただき恐縮です。そしてお送りいただいた概要には…
「コロナ禍直前に40代で一念発起し転職。入社して右も左もわからない状態ですぐに在宅ワーク、予定していた業務が会社都合でなくなった。上司から「業務なくなるけど、あんたどうする?」というチャットが入社1か月後に届く。こんな時あなたならどうしますか?(後略)」
…えええ!?これ、気軽に伺って良いお話ですか!?というわけで、同様にビックリされた方をはじめ、定員オーバーで20名以上お集まりいただいた今回でした。久しぶりにご参加の塾生OGの方もいらっしゃいました。

ご自身で撮影された、満開の白八汐(シロヤシオ)を背景に登場された田邉さん。昨年ご転職、その後コロナ禍が世を覆う中の厳しい業界で2度の社内失業を経験されました。
その渦中でご自身をどのように変えていったか、ということが本日のテーマです。
入社2か月で部門が解散!という最初の危機のエピソードから、自分だったら耐えられるだろうかと考えてしまいます。この時は、自分が提供できるスキルや希望よりも、組織が解決したい問題とのマッチングに発想を転換することで新しい業務を提案、社内で新たな立ち位置を確保されたとのお話でした。「自分の強みをたくさん持っていてもどれか1つに絞らないと相手には伝わらない」というお話など、お茶大の学生さんにも聞いてほしいようなお話です。とにもかくにも1度目のサバイバルご成功、おめでとうございます!
ところがまた一難。今度は取り掛かり始めた業務から手を引くよう言われてしまいます。そこで原点に立ち返り、譲れないことと、捨てても良いことを見極めた上で、現在の保有スキルから会社の抱える課題に再度アプローチし、以前携わっていたITの知識を活かした業務に活路を見出されます。「データ分析基盤を作って、一番会社を知る人になろう!」という気持ちの切り替えが清々しいです。この新しい環境において意識したことの中では「捨てたものに執着しない!」というくだりが特に胸に刺さった方が多かったようです(今回は同様の経験をされた方にも多くご参加いただいていました)。

転職により、職場の歴史や前例の踏襲、ベテラン社員だけのチーム、ルールや規則ありきといった環境が180度変わったことで既成概念が吹っ飛んだという田邉さん。これからどうありたいか、自身の振舞を一から見直されたそうです。そこで考えた新たな女性リーダー像と、キャリアの降り方ということについてもお話しいただきました。
女性リーダーについては、昔ながらのピラミッド型でもなく、近年注目されたティール型でもない、リーダーとフォロワーが常に入れ替わる柔軟性の高い「スター型(仮称)」をご提唱いただきました。現在までにいて良かったと思えた組織でのご体験を踏まえてのお話に、「女性管理職の数値目標ばかりが先行して中身が追いつかず、その間女性は辞めずに職場にいるだけでいいというのは確かに失礼な話で、ご提案いただいたような『ときどきリーダー』なら自分でも目指すことができそう」というお声もありました。
またご趣味の山歩きになぞらえて、キャリアを上手に「降りる」力を身につけるべきこともお話しいただきました。自分の中にある「富士山症候群」が成長を止めてしまうという例え話に、本当に、もっと低くても小さくても、登るべき魅力的な「山」はたくさんあるし、そちらの方が意外と到達するのが困難だったりするなあと聞いておりました(つい最近もかなり過酷な体験をされたとか)。「登り」「降り」を経験して、自分自身のブランドを作っていこうというメッセージが、今後に迷っていらっしゃるという参加者にも響いたと存じます。固執、惰性に陥らず、次の山を目指したいです!

「企業勤めから離れてしまっているので、現在の転職事情に興味津々」、「転職の姿勢を尊敬するが、専門柄自分は簡単にできなくて」などなど、交流会ではそれぞれの立場からご感想、悩み事などが溢れ出ました。
終了後にも、「話しにくい部分もあったと思いますが、リアルな試行錯誤を話していただけたことにとても感謝しています」、「要所要所で冷静に自己分析を重ねていらっしゃる姿勢に関しては、どの業種職種であっても共通で生かせることと思いますので、見習わせていただきます」、「私は、環境に自分を合わせることだけを考えて働いてきました。しかしそれは視野が広かったとは言えず、思い切って環境を変えることの可能性もゼロではないと考えてみます(困難ではありますが)」などとご感想が寄せられました。

田邉さん、スライドのところどころに「徽」のマーク(徽音塾の学びポイント)を入れていただきありがとうございました!いつも田邉さんの徽音塾愛を感じております。
「生きるのが下手ないち社会人」とおっしゃっていましたが、理不尽な出来事の数々につとめて真摯に対応し、その都度、ご自身の価値や望みをも冷静に見つめ直す生き方が素晴らしいなと拝見しておりました。私もかくありたいです。ユーモアにくるんでお話し下さったので面白く拝聴しておりましたが、返す返すもとんでもないサバイバル、よくぞ…!今後ともよろしくお願い申し上げます。
コロナが収まった暁の、田邉さんと行くネットワーキング山歩きの回も楽しみにしております。

田邉さんが代表の徽音塾OG会はこちら
https://sites.google.com/view/kiin-og/

文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)