2021年11月6日(土)講義:13:30~16:40
神原 理氏(専修大学 商学部 教授)
いつもスタイリッシュな神原先生。お飲み物のマイブームは刻一刻と変化しているご様子です。今回画面の向こうでお飲みになっていたのは常温水でした(ある意味当世いちばんお洒落な飲料です)。
初回の今回は、講義目的と内容をご説明いただいてからスタートしました。第2回で取り上げることにも触れていただきました。
最初にマーケティングとは何かについて、具体的にコンビニエンスストア、デパート、ファッション、それにおじいちゃんおばあちゃんがよく見るテレビ番組の合間に流れるCMなどの例を通して、分かりやすく始めていただきました。顧客の心をくすぐり、ファンを増やすために、どこも工夫を凝らしているのだろうなあ、そういえばあの食品には見事に心をつかまれて、思わず手に取ってしまった!などと思い当たることがあれやこれや…。
企業(営利組織)と非営利組織、それぞれにおけるマーケティングについてや、世の中の移り変わりによるマーケティングの変化などについてのお話も。いつの頃からか病院に出現した「患者様」という妙な呼称は、顧客志向の影響というご解説に膝を打ちました。
今や中小零細企業、非営利組織においても重要視されているマーケティング。その「4P(Product、Price、Place、Promotion)」についても、あらゆる例を挙げて下さいました。
季節ごとのコンビニ弁当や、インテリアのイメージ(ふわふわと華やか、あるいはシンプルで落ち着きがあるなど)を確立させている有名雑貨店、牛丼店のかつての安売り合戦や、販売店により変化する化粧品のラインナップ、キノコの会社のキャラクターなど、すぐ頭に思い浮かぶものを通して、基礎的な概念について理解することができました。
マーケティングの基本戦略である「STP(Segmentation、Targeting、Positioning)」の3つについても、先生の体験談やチラシ配りの方法の色々、PCを買う人の違いによる例などの身近な例を示していただきました。駅やスーパーなどの街中で目にしているものが、実はビッグデータによるマーケティングを行っているという事例についても、あれもこれも、そんなに効果的なことを行っていたのかとあらためてびっくりしました。
高齢社会、またコロナ禍の現在におけるアナログ・マーケティングの有効性のお話は、確かにこのご時世に求められるかもしれないとしみじみ感じるものでした。(高齢化にはまだ時間があるものの)コロナ禍の渦中の生活の変化と人恋しさには、思い当たることが多々あります。世の中への当意即妙の対応も重要なのですね。
上記を踏まえた最初のグループワークでは、受講者の皆さんは誰もが知るファーストフード店のハンバーガーを選んで、STPを作成されていました。すっかり見慣れた、ありふれていると感じるような商品でも、あらためて分析してみると、よく考えて商品とされていることが見えてきて面白かったです。
休憩をはさんだ後半は、製品戦略のお話でした。
製品(商品)の概念については、グループワークで名前の出てきた安いハンバーガーが持っているサービスの価値まで解説を重ねていただきました(そう言われると、成程!)。「お金を払っても欲しい」と思えるだけのものには、それなりに理由があるのですね。
商品コンセプトについては、こちらも体操教室や洗剤、健康食品などの例をもとに、4W-1H構造について分かりやすく教えていただきました。
最後に商品開発とアイデア発想法について、現状分析からアイデア抽出までの流れのご解説の後、様々なアイデア発想法を教えていただきました。
2回目のグループワークでは、受講者の皆さんは、こちらも有名な衣料品店の某ヒット作を選び、その分析と新たにその商品に付加すべきアイデア、それが誰にどう響くかを発表して下さいました。身近な存在から考えを膨らませていく過程は、傍らで拝見していても面白かったです。
終了後もターゲット調査や商品のヒットと改良についてなど、質問が活発に出て先生にはたっぷり補足していただきました。
受講者の皆様からは、「マーケティングの基礎を実在する会社の戦略を交えながら勉強することができ、なるほどと思うことが多い授業でした。特にアイデア発想法の理論は、発想の転換でビジネスが展開できるという、普段なかなか気づかないお話で興味深く聴講することができました」、「市場がどのように動くのか関心を持ち、受講させていただきました。細かいリサーチの集約のもとにマーケティングが活かされていることを実感するとともに、自分もそのようにリサーチされているのだと、当然のことではありますが何だか背筋が伸びました」などとご感想をいただきました。
神原先生、初回から事例の豊富な面白いお話をありがとうございました。慣れ親しんだ商品や土地のお話が出てきて、興味深く、またちょっとドキドキしながら拝聴しておりました。
来週のお話も楽しみにしております!
文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)