2021年11月13日(土)講義:13:30~16:40
神原 理氏(専修大学 商学部 教授)
前回でご紹介されていた某ポテトチップスの限定版を、この日の朝にコンビニで見つけてうっかり買ってしまいました。「幻の芋」だの、「この時期だけの特別な」だの謳われちゃうと…そしてパッケージがゴールドの特別感満々だったりすると、つい…
神原先生、これが「顧客の心をくすぐる」ということなのですね。
土曜日のお茶大構内にはピンクと黒の法被の学生さんもちらほら。徽音祭は今年度もオンライン開催ですが、実行委員の人たちは大学で仕事をしていたようです。
神原先生回は、そういえば例年この時期なのでした。以前は構内の出店の様子も例に即興でお話しいただいていたなあと懐かしがりつつ、本日は第2回です。
冒頭に、前回のリアクションペーパーで寄せられた質問の数々にお答えいただきました。マーケティングのコツはとにかく積み重ねなのですね。「練習していればその内できます。できなかったら文句言って下さい笑」とのお言葉…精進します!あるいは文句を申し上げる日が来るかもしれません。
さて、今回はマーケティング・リサーチ(市場調査)のお話でした。まずはそれがどういったものであるか、目的やリサーチのタイプ、データのタイプや質的相違に至るまで丁寧にご解説いただきました。「長年営業をやってきたワシの勘じゃ!」はNGで、客観的データと合理的な意思決定が肝要であると理解できました。先生の大学時代の調査のお話も面白かったです。
そして「市場(顧客)動向はこの一年で、いやが応でも変わってしまった」とは、コロナ禍による売れ筋商品の変化と飲食店の興亡を思い返しただけでも、しみじみ響くお話でした。
マーケティング・リサーチの手法については、定性的調査と定量的調査を教えていただきました。
まず定性的調査のフィールドリサーチについて、「フィールド」とはどこであるか(どこにでもあるのですね!)、どのような方法を取るか、仮説および知見をどのように導き出すかを、微に入り細に入りご解説いただきました。
これは人類学、民俗学の手法から発展したものだそうですが、探偵のような趣きもあり、聞いているだけで楽しそうな調査です。先生の教え子の中には、家族や他学科の友人を連れてこの類の調査に行き、「面白そうなことをやっているね」と言われた方もいたようです。
実際のフィールドノーツ(記録)も見せていただきました。絵心があるとなお楽しそうです(欲を言えば学生さんが行ったメイド喫茶の記録も見たかったです)。
そしてこのような記録を残すことは、例えば上司に競合店を見てこいと言われた場合などに重要なので、こういう手法は身に付けておいた方が良いと学生さんに教えていらっしゃるというお話にも成程と思いました。
上記のお話を踏まえた最初のグループワークは、フィールド調査を組み立てるものでした。
受講者の皆さんは某有名コンビニ店のオリジナルな自社製品の展開をキーワードに、問題発見型とテーマ設定型の2つの調査を短時間で綿密に企画していらっしゃいました。さすが!
後半は定量的調査のお話でした。リサーチ目的の確立、アンケートの設計とデータ分析について、こちらも詳細にご解説いただきました。
アンケートはインタビューと一緒であるというお話が印象的でした。そういえば、答えても良いなと思うアンケートと、ちらっと見ただけで答える気をなくすアンケートとあるなと思い当たりました。アンケートの設計に、先生は1ヶ月はかけるとのお話でした。
データの読み方も、知識がないとせっかくのアンケート結果を無駄にしてしまいそうです。徽音塾でもアンケートは行っていますが、そういえば毎年この時期に「ブラッシュアップしなくちゃ!」、「読み方を勉強しなくちゃ!」と焦るのでした。
2回目のグループワークは、リサーチ方法(アンケート調査法)の設計を行うものでした。
受講者の皆さんは、最初のグループワークで取り上げたコンビニにおける高齢者の総菜の購入に着目して、こちらも短時間で見事に設計されていました。先生からは、少々のアドバイスのほかは言うことがないとお墨付きも!
内容のみっちり詰まった第2回が、これにて終了しました。
受講者の皆様からは、「今後飲食店のアンケート表などを見た時には、どのような目的や集計解析を行う意図で作成しているのか興味が湧いてきそうです」、「講義を聴いているとよく理解できていたつもりが、グループワークでフィールド調査やアンケート調査を考えると検証や聞き込みの順番の難しさを実感しました。本質を見据えた調査をし、仮説が合っているかどうかを判断して、そのことをいかに経営戦略に結びつけていくかの重要性を考えさせられました」などとご感想をいただきました。
神原先生、2週にわたり面白いご講義をありがとうございました。終了後のひとときやリアクションペーパー等で寄せられた質問にも丁寧にお答えいただきありがとうございました。
次に徽音塾にご登場の際はピンクと黒の法被をお召しになるかもしれないとおっしゃっていましたが、先生のイメージ戦略とご相談の上、ご無理のない範囲でお願いいたします。
文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)