2021年11月20日(土)講義:13:30~16:40
露木 恵美子(中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール) 研究科長 教授)
今年度もビジネス講座「経営戦略の基礎」として、中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール) 研究科長 教授の露木恵美子先生にご講義いただきました。露木先生のお人柄あふれるご講義は例年大人気です。
初めに露木先生ご自身の自己紹介から始まり、続けて受講生7名がそれぞれに受講を希望した理由とともに自己紹介しました。ともに受講する仲間たちを知ったうえで講義はスタートしました。
講義を始めるにあたり、露木先生から受講に関する心構えについて説明がなされました。その中でも「いい意見や悪い意見があるわけではない。『一つの意見』があるだけだ。」の説明は大変印象的で、建設的かつ発展的なやり取りを行う上でとても大切な心構えと言えます。
まずは、受講者それぞれが職場でどのようなことに困っているのかをチャットに書き込み、「困りごと」の共有を行いました。受講生から様々な「困りごと」が出されましたが、いずれも共感できるものばかりでした。これらに対して露木先生は、解決のためにも戦略を立て、それを言葉や図に示して構成員間で共有しつつ共に行動すること、傾聴することが大切であるとお話しされました。
露木先生から戦略とは何か、市場とは何かをご講義いただき、受講生が所属するそれぞれの企業の市場の特徴(市場と企業理念の関係性)について考えるグループワークを実施しました。ワークではオンライン上にある付箋に特徴を書き込み、それをオンラインホワイトボードへ貼り付け、グループ内で取りまとめ、グループごとに取りまとめた意見を発表いただきました。
その後、露木先生から組織とは何か、経営理念の設定についてご講義いただきました。ご講義の中でも特に「誰のために、何のために、を考えること」が大切であるという言葉が印象的でした。引き続き、経営資源であるモノ、カネ、ヒト、情報について説明がなされ、この経営資源の核となるのは時間をかけて経験や知識を蓄積することで形成される「コア・コンピタンス」である、とお話しされました。
受講者それぞれに自身が勤める会社のコア・コンピタンスとは何かを考え、その考えをもとにSWOT分析を行う宿題が出されました。SWOT分析とは、自社の強みと弱みを考え、機会(チャンス)と脅威についても考え、それらを掛け合わせることで戦略形成に必要な情報を整理する方法です。露木先生から受講生に「自身が経営者になったつもりで自社のSWOT分析を行ってください」との声掛けがなされ、1日目の講義は終了しました。
受講者からは「戦略をどう実行するか、実行できる組織を作るかが大事という言葉が印象に残りました。」、「パワフルな自己紹介から始まり、経営戦略の基礎のご教授の中で『組織の中で目標と戦略を共有するためには?』『傾聴とは?』など、精神論、心理論的な議論もあり、今までの経験や努力していたことを思い出し、とても大きくうなずき共感しながら聴講していました」などの感想をいただきました。
講義では、立てた戦略を動かすための組織論、精神論にまで話がおよびました。経営戦略には大きな構想が盛り込まれることが多いため、少々敷居が高いというイメージを持たれます。しかし露木先生から「日々の中にある小さなことを変えることで様々なことが連鎖的に変化します。この小さな変化をいくつか起こす『チェンジリーダー』になってください」とのお話がなされ、受講生たちも経営戦略を身近に感じつつ変化を起こしたい!という意欲を高められたのではないでしょうか。
文責 内藤 章江(グローバルリーダーシップ研究所 特任講師)