徽音塾第10回目の講義は、「『貧困とは何か?』を考えてみる」をテーマに、本学基幹研究院 人間科学系 助教の三宅雄大先生にご担当いただきました。

冒頭で三宅先生は、「みなさんは、貧困の定義は何だと思いますか。それは、社会からも認められる定義でしょうか」と問いかけます。考え込む塾生に、「貧困を明確に定義することは難しい。なぜならそれは、社会的な文脈の中で意味づけられるものであり、時代や社会状況によって変化するからです」と説明してくださり、各国の事例をあげながら、貧困の定義の共通事項をご教示くださいました。さらに、「貧困とは何かを考えることに意義がある」とお話しされ、ご自身がなぜ貧困問題に関心を寄せるようになったのか、これまでどのような研究をされてきたのか、今、どのような課題に取り組んでいるのかを丁寧にお話しされました。

後半では生活保護をテーマに、「不正受給のイメージが強いけど、実際には手続き上のミスが原因のことが多い」ことや、「生活保護は人々が最低限の生活を送るために不足している金額を補う制度だと正しく認識している人が少ない」などを熱心にご講義くださいました。

先生は、オンラインツール「Slido」を使用し、リアルタイムで質問対応やグループワークの意見収集をしてくださいました。授業後は、30分間のフリータイムを設け、翌日まで「Slido」への質問を受け付けて下さるなど、塾生が当事者として真剣に貧困を考える機会を提供してくださいました。