2022年3月6日(日)にオンラインにて「お茶の水女子大学・奈良女子大学合同シンポジウム」を開催いたしました。理系女性教育開発共同機構では、女子生徒の理系への進路選択の支援や理系女性の育成を目標とし、2015年からさまざまな取り組みをおこなってきました。本シンポジウムでは、お茶の水女子大学と奈良女子大学の取り組みを紹介しました。
今回もオンラインでの開催ということで、全国各地の方々にご参加いただきました。開会挨拶はお茶の水女子大学 理系女性教育開発共同機構 機構長の加藤美砂子教授が担当いたしました。
講演発表
吉村 和也 様(お茶の水女子大学 特任准教授)
「これまでに開発した教材・教育プログラムのご紹介」
お茶の水女子大学 理系女性教育開発共同機構で開発した開発教材についてご紹介いただきました。中学生向けの「プラレールで数学しよう」などを例に、学校教材をベースにした実験から身近な数学・理科を感じてもらうために学校現場などで活用されていることをお話しいただきました。また、身近な生き物や化石の情報・クイズから興味関心を広げていくことができる「自由研究にも活かせる科学情報コーナー」についても紹介いただきました。今後は、教材プログラムの貸出数や利用者を増やしていくために、周知のための宣伝をしていきたいとのことでした。
雨宮 敏子 様(お茶の水女子大学 助教)
「リケジョ–未来シンポジウム開催の歩み -理系女性ロールモデルの紹介として-」
機構発足からの7年間で開催してきた「リケジョ-未来シンポジウム」の歩みについてお話しいただきました。リケジョ-未来シンポジウムは、理系に進学したのち様々な場で活躍されている女性の進路選択や仕事のお話を聞くことで、中高生に理数系進学への関心をもってもらうことを目的としています。新型コロナウイルス感染症拡大前後での、対面・地方開催とオンライン開催での開催内容の違いや参加者層の違いについてもお話しいただきました。
小路田 泰直 様(奈良女子大学 理事・副学長)
「奈良女子大学における活動のこれまでとこれから」
理工系に進学する女性が少なく多様性が低いという問題意識から、理工系に進む女性を増やす啓蒙活動がスタートしたという経緯についてお話しいただきました。女性の理工系への進学を後押しするためには、ロールモデルが少なく少数派となりがちな女性にとって、女子大学が果たせる役割は大きいということを工学部開設の経緯と合わせてお話しいただきました。
八ヶ代 美佳 様(奈良女子大学 特任助教)
「文理融合型講座「歴史学meetsプログラミング」」
文系の学生もプログラミングに親しむことができる、文理融合プログラム「歴史学meetsプログラミング」を開催するにいたった経緯と参加者の声をご紹介いただきました。文系研究者であるご自身にも理系研究者と関わる中で気づきがあったという経験が、文理の壁を超える学際研究の可能性を広げるプログラムをつくるきっかけであったそうです。参加者の声からも、文系・理系という壁を薄くするような実感があったとのことでした。理系的な手法を使うことに対する文系学生の心理的障壁を取り除くことで、文理融合的な研究にも繋がるのではないかとのことでした。
山下 靖 様(奈良女子大学 教授)
「2021年度活動紹介」
奈良女子大学 理系女性教育開発共同機構で取り組んできた、2021年度の活動について広くご紹介いただきました。理工系への中高生の関心を深めるために中高生が研究発表をする場である「サイエンスコロキウム」や、次世代の理系女性リーダーの育成に向けた「グローバル化推進プログラム」などについてお話しいただきました。また、理工系への進学を迷う中高生に向けた進路相談活動や、小学校・大学で連携して理数系の楽しさに触れてもらう取組みについてもご紹介いただきました。少しずつでも、理系に進むハードルをなくすことが大事なのではないかとのことでした。
総合討論
講演後の総合討論では、講演者と参加者の間でチャットやマイクを通して、理数系を志す女性を増やしていく試みの今後について活発に議論がありました。一つ一つは小さな試みでしたが、7年間の活動の中で社会の雰囲気も変わってきました。理系で学ぶ興味や関心を育み、次世代を担う理系女性がその能力を開花させるために、どのように力を尽くせば良いのか、深く考える時間となりました。