2020年11月23日(月・祝)に、オンラインにて第25回リケジョ-未来シンポジウム「サイエンスの学びから将来の夢へ」を開催いたしました。今回も前回と同様オンラインでの開催ということで、全国各地の方々にご参加いただきました。
講演の部は、ニチバン株式会社 樋田朋子様、リコージャパン株式会社 田村りつ子様にご講演いただきました。
司会進行は、本機構副機構長の加藤美砂子教授が担当いたしました。
講演の部
樋田朋子様(人間・環境科学) ニチバン株式会社 埼玉工場 生産技術開発課
『豊かで快適な生活を支えるものづくり』
中学校の家庭科の授業で「豊かで快適な生活とは何だろう?」という先生の言葉がずっと心に残っていたという樋田様は、家庭科の先生になりたいという思いを持ってお茶の水女子大学に入学されました。家庭科の教員免許を取得し、大学院生の時には実際に教師として勤務されたご経験もあるそうです。しかし、「生きる力を育てるための家庭科を、社会人にすらなっていない私が生徒に教えていいのだろうか?」という考えから、民間企業への就職を決意されます。就職活動時にも中学校の先生の言葉が残っており、豊かで快適な生活を実現できる会社を選ばれたそうです。現在は、セロテープでお馴染みのニチバン株式会社にて、工場の生産をより効率的にするための技術開発をなさっています。営業に同行してお客様の問題を解決するという業務に、ものづくりの楽しさややりがいを感じているそうです。そして、お子様が産まれたことで、より一層豊かで快適な生活とは何だろうと考え続けているとおっしゃっていました。中学生から現在に至るまで、豊かで快適な生活は何なのか、その答えを知りたいと思い続けている一貫した姿勢に大変感銘を受けました。
最後には、大人になっても学び続けられるというメッセージをいただきました。育休中でお子様を育てられている傍ら、英語の勉強もなさっているという現在の樋田様ゆえのお言葉だと感じました。
田村りつ子様(生物学) リコージャパン株式会社 デジタルビジネス事業本部
『自分の人生は自分で選べる、変えられる!』
幼い頃から理科が好きだったという田村様は、高校の先生のアドバイスからお茶の水女子大学のAO入試を受けられます。そして大学ではヒトデの研究室に所属され、大学院博士課程まで進まれました。実験の様子やヒトデ採取の写真、研究室でのパーティーの写真などを見せてくださり、大学生活の様子がよくイメージできました。研究の面白さを社会人になっても続けたいという思いもあったそうですが、博士学位を取得して研究には区切りがつけられたというお考えから民間就職を決められました。現在はリコージャパン株式会社にて、事務系総合職として営業や企画等のお仕事をされています。今までやってきた研究とは全く別世界だけれども、ゼロからの挑戦にやりがいを感じているとおっしゃっていました。
最後には、直感に従う勇気を持つことが大切というメッセージをいただきました。高校生の時に比べて、大学生になってからは研究室選びや一人暮らしの生活、大学院受験など田村様の意思で人生の分岐点を選んできたとおっしゃっていました。その分岐点を選ぶときに大切にしていたのが、ご自分の直感だったそうです。周りの人の話をよく聞きつつ、最後の決定は自分の直感に委ねてみるというのは、今後多くの分岐点をむかえる中高生によって大変意義のあるお言葉だったと思います。
お二人のご講演の後、質疑応答の時間を設けました。講演中あるいは講演後に、参加者の皆様に質問をチャットに書いていただきました。質問を書いた参加者は、マイクを通じて自分の言葉で講演者に直接質問を投げかけました。樋田様の教員経験や田村様の研究について興味を持った参加者が多く、講演者のお二人には1つ1つの質問に丁寧にお答えいただきました。
懇談会(ブレイクアウトセッション)
閉会の後、希望者のみで懇談会を行いました。オンラインでの懇談会は前回に引き続き2回目の開催でした。ブレイクアウトセッションのツールを用いて2つの部屋を作り、講演者が1人ずつ部屋に入って、参加者との交流の場を設けました。それぞれの部屋での司会進行は、本学理学部生物学科2年生の池田陽香さんと本学大学院ライフサイエンス専攻博士前期課程1年の永田榛花さんが担当しました。講演の部よりも少人数での実施となり、より講演者と参加者の距離が近く、活発なコミュニケーションが行われていました。