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参加者の声
Uさん (第2期生)
- インターンシップ先
国内乳飲料会社 - 内容
【自分を取り巻く現状の分析とキャリアデザイン】
私は、博士号取得後の4年間をポスドクとしてアカデミアで過ごすなかで、『博士号取得後はポスドクを経験し、いずれ大学教員になりたい』という考えが“自然と”形成されていました。しかしながら、自分自身や周囲をみる限り、先を見通すべき“視界”は決して明るくないと感じていました。平成23年4月に実施された日本学術会議基礎医学委員会の調査によると、生命系ポスドクおよび任期付き助教の実に97%がアカデミアへの就職を希望しているという結果となり、非常に多くの方が私と同じような境遇にいることを知りました。一方で、民間企業への就職希望は45%にとどまるなど、他のキャリアパスへの門戸が著しく狭い(もしくは、どのように切り開けば良いのかすら分からない)といった厳しい現実が露呈されました。
このような状況の中で、自分の専門性や経歴、性格等を改めて振り返ると共に、将来のキャリアデザインを描き直す時期にきていると強く感じ、本プロジェクトへの参加を決めました。
【取り組んでいる研究テーマとその進め方】
私は現在、関東に拠点を構える乳飲料会社の研究所にお世話になりながら、長期インターンシップを行っています。元々農学(畜産)系分野を専攻していただけでなく、自分の専門性(糖鎖の構造解析等)を乳業業界(特に、プロバイオティクスやプレバイオティクス分野)で活かすことはできないかと考えていました。長期インターンシップ実現の経緯では、本プロジェクトに関わる先生方だけでなく、大学院時代の指導教官にもお世話になりました。その結果、幸運にも、近年著しい研究成果を発信し続けている研究チームに身を置かせていただけることになりました。
長期インターンシップにおける研究テーマは、『プロバイオティクス商品における基礎的データの収集とそれに関わる開発技術の習得』です。プロバイオティクス(宿主に有益な乳酸菌やビフィズス菌等の微生物)研究分野における糖鎖情報の蓄積は比較的乏しく、基礎研究から道を切り開いていくことに魅力を感じました。それだけでなく、本インターンシップは、科学的手法により得られた結果をどのように商品自体やマーケティング戦略へ反映させることができるのかを学び、自らそれに関わることが出来る絶好の機会だと思いました。当然のことながら、特に後者はアカデミアの世界ではなかなか“味わう”ことはできません。
私個人の研究テーマとしては上記のもの以外に2つほど任せていただいており、それまでの『1テーマを集中して進める』スタイルとは異なり、他の所員の方々と同様に『マルチタスク』型に進めているところです。その他にも、数人のチームに加えていただき、『チーム参加型』の研究テーマにも携わっています。いずれも、個人主義になりがちなアカデミアでの研究スタイルとは異なる性質のものであり、大変貴重な体験をさせていただいています。これらを遂行するためには、やはり「コミュニケーション能力」が必須です。Sさんの寄稿でも触れられていますが、こちらの考えや意見を迅速に、要領よく、的確に相手に伝えるスキルは、どの場面においても必要とされ、最大の“武器”になります。
【おわりに】
学会で知り合った企業研究員の方が、以前私に言ってくださったとても印象深い言葉があります。『日本人の自然科学に対する知恵の深さと、正確さを信じて、私たちも少しでも人のために役立てる仕事を目指したいと考えております。』当時の私には、民間企業の方が自社利益を追求するだけでなく、このような考えをもっていることにただ驚くばかりでした。本プロジェクトを経て、私もそのような「仕事」ができる研究者を目指しています。
Sさん (第1期生)
- インターンシップ先
損害保険会社 - トピックス
社会科学研究と企業との繋がりを実感 - 内容
私は本事業を利用して、企業でのダイバーシティ推進業務に携わることになりました。多様な働き方をテーマに、社会と直結した研究をしたいと考えてきた私にとって、願ってもない機会です。ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティなどのテーマは、学術研究でこそ重要性が広く認識されてきたものの、企業現場での反応はいまひとつだと感じてきました。しかし近年、流れが大きく変わり、多くの企業で重要性が認識されるようになったのです。同時に、新たな取り組みが組織の隅々までに浸透し、実践されるようになるまでには遠い道のりがあります。今回の経験により、このような企業の現状や課題を実感することができました。
インターンシップの当初は、誰に何を聞けばよいか、何がどこにあるかも分からず、企業勤務経験のある私にとっても多くの戸惑いがありました。そんな中で、インターンシップ前に受けたロジカルコミュニケーションの講座は、自信をもって業務を進める力となりました。これまで、論文作成時の論理展開などは十分に叩き込まれていましたが、この講座は「話し方」に焦点を当てた全く趣の異なるものだったのです。大学の講義や学会発表など、人前で話す機会は少なくない我々ですが、実は話し方についての訓練は何も受けていません。講座を通じ、資料なしで相手を引き込む話をするには、実に多くの配慮が必要だということを学びました。特に「要点を示す」ことの重要性は、業務を進める上での大きな指針となりました。
これからインターンシップに参加される皆さんへ。企業では組織固有の知識や人脈が大きな役割を担うため、受け入れ先の方々には多くのことを教えていただく必要があります。受け入れ先や送り出してくださった皆さんへ感謝の心を忘れずに、身に付けた専門知識・スキルを存分に発揮してきてください。インターンシップの機会を与えてくださったチャーティスの皆様、先生方、そして関係者の皆様、本当にありがとうございました。