2015年2月7日・14日・21日・28日
汐崎浩正氏(西村あさひ法律事務所弁護士 パートナー)

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①2月7日 13:30-16:40

企業経営に関わる法律のうち、消費者保護法(消費者契約法・特定商取引法)、製造物責任法、景品表示法の制度と運用について学びました。

消費者保護法については、法制定の歴史的経緯や目的についてお話いただいた後、ポイントとなる条文の内容をご説明していただき、適格消費者団体や差止請求権についてもご紹介いただきました。製造物責任法(PL法)に関しては、責任の認められる対象や条件のほか、被害者による「証明」の難しさ等も触れていただき、塾生からの質問も相次ぎました。景品表示法については、「不当景品」・「不当表示」とはどんなものか、これまでに起こった食材偽装問題等の不当表示の実例を取り挙げながらご説明くださいました。

いずれの法律についても、条文や法律用語を分かりやすく噛み砕き整理しながら、丁寧にご指導くださいました。塾生からは、「条文をひとりで読んで理解することは難しく、これからもたくさん質問させていただきたい」、「一つ一つのテーマの事例等が分かり易くて良かった」、といった感想をいただきました。

(文責:徽音塾事務局 清水)


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②2月14日 13:30-16:40

前回に引き続き、企業経営に関わる法律のうち、独占禁止法、下請代金遅延等防止法、会社法を学びました。

独占禁止法に関わる国内外の歴史とその目的、近年の動向等を確認し、条文に目を通しながら「私的独占」、「不当な取引制限」、「不公正な取引方法」とは何かを例を挙げつつ考えていきました。また、公正取引委員会による調査、排除措置命令、課徴金と減免制度、そのほか、改正独禁法の要点や入札談合等関与行為防止法等についても教えていただきました。下請代金遅延等防止法に関しては、公正取引委員会のガイドラインを参照しながら、「親事業者」「下請業者」といった単語の定義や対象となる取引の中身をご説明いただきました。数年前に改正され慌ただしく周知された下請法について、ここで理解することができたとの塾生の声もありました。

会社法については、株式会社を主として、発起人、定款と認証、出資の履行、役員の選任等、設立に関する法律を見ていきました。また、株式、株主の責任と権利、株券、譲渡、清算、会社再編、代表訴訟等についても教えていただきました。「会社法など、細かい部分を勉強すると逆に全体像が分からなくなってしまい、今回のようにまとまった説明がきけてよかった」、「優先株についての知識が参考になった」といったリアクションもありました。

(文責:徽音塾事務局 清水)


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②2月21日 13:30-16:40

会社法に関する学習の続きとして、実際に「商業登記簿」を見ながら、そこに記載されている内容と取得・提出方法について学びました。また、金融商品取引法に関して、公開買付(TOB)開示と大量保有開示の趣旨や該当条件、義務、手続き等を教えていただき、敵対的買収にも触れていただきました。

さらに、今回から企業コンプライアンスの仕組みに関する学びに入りました。コンプライアンスは法令の順守を意味するばかりでなく、会社や従業員を守り、不祥事発生後の迅速な対応にも関わる等、リスクマネジメントとも重なり、そのため企業のリーダーにとって高い重要性を持つことが理解できました。その実現に関わる法律として、公益通報者保護法や個人情報保護法、また、企業倫理・コーポレートシチズンシップ(CSR)についても教えていただきました。

塾生からは、「TOB等、よく耳にする内容を学ぶことができた」、「コンプライアンスについて、法律と倫理、通報と漏洩の境などは立場によって捉えられ方は異なるのではと考え、法律の解釈が難しいと感じた」、「公益通報者保護法については、個々人で悩んでしまったり、対応に苦慮したりして、適当に公にすることが難しいケースが多いと思う。社会に出る前に学校で教わることも必要なのではないかと思った」といった意見・感想をいただきました。

(文責:徽音塾事務局 清水)


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②2月28日 13:30-16:40

契約、賃金、労働時間、時間外労働、休暇、解雇、退職金、短時間労働等に関する様々な労働法規と各種制度を、具体例や判例、ガイドライン等の資料を提示しながら教えていただきました。男女雇用機会均等法、セクシャル・パワー・マタニティハラスメント、育児休業、介護休業といった話題は、塾生にとっても身近な内容となりました。また、折に触れて、近年問題や議論となっている労働者派遣法改正、脱時間給・残業代ゼロ制度、名ばかり店長問題、留学・研修費用の返還請求問題といった事例についても考えていきました。さらに、紛争解決のための労働審判手続き、相談所についてもご紹介いただきました。

最後に、労働基準法改正案をめぐる論議、海外で採用されている女性管理職のクォータ制、厚生労働省の女性の社会進出政策といった話題にも触れていただきました。

塾生からは「現在労務管理を行っており、とても興味ある内容だった。いただいた資料を時間をかけて復習したい」、「企業の中では職位が上がらないと聞くことが出来ないような内容でよかった。会社にはたくさんの制度があるが、何の法律に基づくものが分からないまま呑み込んでいたが、基礎になっているものが何か分かってすっきりした」、「労働関連法は、使用者はもちろん、労働者が権利としてしっかり身に着けたいと思った」、「現在国会で審議されている法律の動向も気になる」といった反応がありました。

(文責:徽音塾事務局 清水)