2015年9月12日 11:30-12:00
小濵 聖子氏(お茶の水女子大学 グローバルリーダーシップ研究所 特任リサーチフェロー)
「よく生きるということ―東洋思想を手掛かりに―」

9月のネットワーキングランチ・ミニレクチャーの講師は、お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所特任リサーチフェローの小濵聖子氏が務めました。「よく生きるということ―東洋思想を手掛かりに―」というテーマで、仏教と儒教の思想の基本的な世界観や人間観を説明し、現代に生きる人間がそれらを学ぶことの倫理的な意義や、リーダーシップ、ダイバーシティなどとの関連性にも触れられました。
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講演内容の概要を紹介します。仏教は、この世は苦である、つまり「すべては思いどおりにならない」と説きます。これは自分の思い通りにしたいという人の欲(煩悩)に発します。煩悩があって物事に執着するから苦しみが生まれる、と考えるのです。その苦を脱するために人は修行するのですが、そこで「心」の追究が大事になってきます。
心というと、儒教では孟子の「四端の心」が有名です。惻隠・羞悪・辞譲・是非の4つの心が拡充されて仁・義・礼・智の德として養われる、その4つの心が人には備わっている、というのです。また、儒教では他にも様々な徳目があり、人間社会の秩序を形成し支えていると考えられています。
秩序は、リーダーシップにも関連する重要な概念です。リーダーシップとは、一つには進むべき方向を示す力であり、それは要するに集団の秩序を生む力です。ところで、リーダーシップという言葉には、その言葉を使う当人の価値観(道徳律)が含まれるという研究例もあります。また、リーダーの役割とは、企業においてそれを構成する多様な人々に新たな道徳を創造することだという説もあります。
このように、レクチャーでは今回のテーマである「よく生きるということ」という倫理的な問題が、人の心の問題であり、リーダーシップ、ダイバーシティにも関連することをお話されました。
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塾生からは、「(仏教は)社会人として知っておきたいことでもあり、個人的にもう少し学んでみることとします」「人間とは、生きるとは、ということを考え、また、その手がかりとして仏教の考えを知ることで、自分にとって悔いのない生き方ができるのかもしれないと思いました」「始まる前はもっとお説教くさいような話なのかなと思っていたのですが、全然違ってお話の内容がわかりやすかったこともあって素直にしみこんでくる感じでした」「大学時代は仏教や儒教の思想をリーダーシップと結びつけるというのは考えたこともなかったので新鮮でおもしろかったです」といったコメントをいただきました。
思想というと、現実生活とは関連が薄く、役立てる機会があるかどうかも分からない教養教育の代表、というイメージがあったかも知れませんが、新鮮に聴いていただけたようでした。
(文責:林 有維)