2021年2月6日(土)講義:13:30~16:40
汐崎 浩正氏(汐崎法律事務所 所長弁護士)

今年度もとうとう徽音塾の締めくくり、「ビジネスと法律」のシーズンを迎えました!
今回の講義が初めてのZoom講義でいらした汐崎先生、ウェブカメラを新調され、当日はお早目にご入室、画面共有を入念に練習して下さっていました(ありがとうございます!)。

まず受講者の皆様の自己紹介として、お仕事と関係のある、または興味をお持ちの法律についてお話しいただきました。職種が実にバラバラな皆様。特定の分野の知識に強そうな方がいらしたり、今後の事業展開の垣間見える方がいらしたりと面白いです。
全4回の構成についてのご説明の後に、消費者庁管轄の本日のお話が始まりました。

最初は消費者保護法制についてです。「『サザエさん』の世界のように、昔は玄関に鍵の掛かっていないことが普通でした」というところから、そんな家に上がり込んでくる押し売りの話題へ。そういえば小さい頃は、近所で誰も鍵を掛けていなかったと思い出しました。世知辛い世の中です。ここでは特定商取引法と消費者契約法について教えていただきました。事業者の目線でも考える必要があるというお話、心に留めます。
特定商取引法については、対象となる特定商取引の種類について詳しく解説を加え、具体例や注意点、適用除外のケース等についても教えていただきました。法律改正への動きが盛んになっているこの話題について、昨夜の時点での最新情報を資料に盛り込んでいただきました。その上に、クーリングオフについては今日の朝刊に掲載された情報までご紹介いただきました。とある受講者のお住まいの地域付近の自治体での新制度もご紹介いただき、興味深く伺いました。
「『セールスお断り』のシールが玄関に貼ってあるのに訪問してくるのは違法ですか?」などとご質問も出ました。明確に貼ってあるのに入ってくるのは、厳密には建造物侵入の罪になることもあるそうです!今度からこの知識を大いに使わせていただきます。

消費者契約法については、その目的について詳細に教えていただきました。消費者団体訴訟制度と特定適格消費者団体のお話では、記憶に新しい医療系の大学受験における女性差別の話題が例に取り上げられました。あの事件にもこの制度は関わっていたのですね。

製造物責任法(PL法)のお話では、短い法律でも大変重要なものと、まず教えていただきました。魚料理で食中毒があった場合には、これは「製造物」として法の対象になるか、などと身近で、かつ実際の判例のあるお話もありました。小売店をされている方には、「うちの店で販売したこのような製品に問題があった場合は?訴えられるのはどこでしょうか?」と気になる法律だったようです。
裁判事例では、ニュースで見聞きしたことのある事件がいくつも取り上げられました。そういえばあの事件もこの事件も、しばらく世間を騒がせていた!とすぐ思い出せるものばかりです。自分の身に降りかかるかもしれない事件・事故と関わるものとして、法律をいっそう真剣に見つめることができました。

最後に景品表示法のお話があり(そうそう、お話に挙げられた中では、個人的には海老の騒動も懐かしいです)、本日はこれで幕となりました。

受講者の皆様からは、「PL法や不当表示の例から、これくらいはいいだろう、顧客はわからないだろうと手を抜いたりごまかすことが顧客の被害や企業の信頼失墜につながるため、人事部門として、従業員に法律を理解して遵守することの重要性をしっかりと伝えていきたいと思います」、「色々な法律があるなかで、ここに注目!という法律の解説ありがとうございます。普段なんとなくわかっていたつもりでも、ちゃんと聞くと間違って認識していたりしました」などとご感想をいただきました。

今日は事務所からご講義下さった先生。めったにないこととのお話でしたが、講義中に緊急のお電話があり、まるでドラマの法律事務所のようなライブ感がありました。
汐崎先生、来週もよろしくお願いいたします。

文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)