2021年12月4日(土)講義:13:30~16:40
櫻井 康弘氏(専修大学 商学部 教授)

今年度も会計の季節(?)となりました。
一部の塾生の皆様からは「徽音塾の天王山(年間で一番頑張ってレポートを書いた!)」と呼ばれ、また一部の塾生の皆様は、受講をきっかけに簿記の資格を取得されて、人によっては転職にまで至った!という、徽音塾を語るに外せない科目です。
リニューアルした今年度は、初学者が会計基礎力をよりしっかり身に付けられるように、櫻井先生が組み立て直して下さいました。

実施委員長の小林誠からの「学校も決算書を公開しているのですよね」などという身近な話も含めた挨拶と(小林先生、「我が家の食費は月○万円に抑えたいけどムリ」なんてお話までしてしまってよかったのですか?)、櫻井先生のご紹介の後に、本日のお話が始まりました。
第1回は「企業活動と会計」、「取引記録の仕組み」、「実際の決算書」の3つの章立てのもとお話しいただきました。

まず「企業活動と会計」のお話では、企業において会計の果たす役割から、丁寧に紐解いていただきました。
会計はビジネスの言語であるというくだりでは、「単語と文法を覚える必要がありますが、単語はたくさんあるものの、今回覚えていただく『文法』は実は2つだけです」とのお話に、ちょっとホッとしたお顔がちらほらと。それにしても「言語」として認識すると、このような情報が読み取れるのか、こういう立場の人がその情報を利用するのかということがはっきり見えてきますね。財務会計と管理会計の違いについても分かりやすく説明していただきました。
架空の徽音商事(!)の取引例や、損益・財産計算や会計測定の仕組み、貸借対照表と損益計算書の関係などについても、図で示したり、例題を時折はさんだりしながら教えていただきました。櫻井先生、この「徽音商事」は来年潰れていないでしょうか…

次に「取引記録の仕組み」のお話では、会計の測定プロセスから始まり、取引とその記録(仕訳)、分類(転記)、総合(決算)について、順を追ってご説明いただきました。
「T」の字と、画面の左右の数値…初めて会計を学ぶ方にはなかなか難しそうな点もありましたが、図で眺めるとバランスが徐々に理解できてくるようです。後は「単語」を覚えていけば、理解が深まる筈です。会計に触れるのは今回が本当に初めてという皆様、応援しております!

そして本日最後は「実際の決算書」のお話でした。
実際の決算書の入手方法について、「今日、終わったら見て下さいね」と教えていただいた「EDINET(エディネット:有価証券報告書等の開示書類を閲覧する、金融庁のサイト)」については、注意点を述べつつ、画面で共有しながらお話しいただきました。櫻井先生は就職活動を控えた大学生に、「報告書のここと、ここと、ここを分析すると、その企業について見えてくるよ」というアドバイスをなさっているそうです。大学生の内にそのお話を聞きたかったのは、私だけではない筈です。
決算書から企業をイメージするというお話は、名称を伏せた2つの企業を推測するのがクイズのようで面白く、グループワークで貸借対照表と損益計算書を読み解いて、各グループでこれだという企業名を発表しました。皆様、ご正解おめでとうございます!

受講者の皆様からは、「決算書について独学で勉強しようとして挫折したことがあります。本日の授業では、業界ごとの特色を知ることが出来たり、チームディスカッションがあり、楽しく学ぶことができました。今後、転職をすることがあれば転職先を選ぶ参考にしたいと思いました」、「社内試験対策で最低限の事項を独学しておりましたが、他社の報告書を読み解くという経験はこれまでありませんでした。最後のワークは謎解きのようで興味を惹かれましたが、社会情勢の諸々を知識として蓄えておかないといけないとも感じた次第です。逆に言いますと日々のニュース記事が報告書の処々に散りばめられているということも改めて話題のニュース性が企業活動に連動していると納得いたしました」などとご感想をいただきました。
皆様、ご講義前に櫻井先生の出された10問のテスト(今回のお話を聞けば正答が分かる筈!)の正解率はいかがでしたか?次回第2回も極力計算式を使わないでやさしくご説明下さるとのお話ですので、引き続き頑張っていきましょう(事務局メンバーも基本的に全員初心者です)!

櫻井先生、次回もやさしくお願いいたします。零細企業「徽音商事」メンバーも第2回を楽しみにお待ちしております。

文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)