2021年12月11日(土)講義:13:30~16:40
櫻井 康弘氏(専修大学 商学部 教授)

ご参加の皆様、第1回の情報は一週間でご自分のものにできましたか?
冒頭に前回の10問のテストの答え合わせをして、身近な検索エンジンに実は掲載されている会計の有用な情報の見方を教えていただき、リアクションペーパーで寄せられた質問にもお答えいただきました。中には「そんなところに注目されたのですね!」と初心者事務局メンバーが慄くようなピンポイントのご質問も。知識が増えると、企業の動きについて気がつくところ、気になるところも増えていきますね。

第2回は「貸借対照表」、「損益計算書」、「その他の会計情報」の3つの章立てのもとお話しいただきました。

「貸借対照表」のお話では、資産、負債、資本(純資産)の関係と資本の増加について図で分かりやすく示していただいた後、各項目について詳しくご解説いただきました。
資産のうち流動資産については、とある夢の国の連結貸借対照表を例にご説明いただいてから、流動資産の割合が高い企業数社のデータを見て、それぞれどの企業のものか読み解いていくクイズ形式で教えていただきました。「この業種ではこんな特徴が」、「この数字からこんなことが見えてくる」というお話、昔ではなかった業種の特徴も含めて面白かったです。貸倒引当金や、その他の引当金についても教えていただきました。
また固定資産についても、ご説明の後に、その割合が高い企業数社のデータから社名を当てるクイズ形式で教えていただきました。数字をよく見ていくと、こちらでも業種による特徴や、他の企業との関係性(争い?)も浮かび上がってきて興味深かったです。ここでは減価償却についても「計算式を出さないと宣言したのですけど…」とおっしゃりつつ教えていただきました。櫻井先生、この計算はおかげさまでちゃんと理解できました(ように思います)!
負債と純資産についても、同様にご解説と、その割合が高い企業を当てるクイズを使って教えていただき、未払いの費用や、負債と純資産のバランス、そして資産と負債のバランスについても読み解き方を教えていただきました。

以上のお話を踏まえた最初のグループワークでは、グループごとに3つずつ異なる企業の貸借対照表のデータが名前を伏せて提示されました。どんな特徴が見出せて、そこから選択肢のうちどこの企業と推測されるかを発表するゲームでした。「ここはオンライン中心の企業だから」、「ここは都内に土地を持っているから」等々、鋭いご考察が目白押しでした!零細企業・徽音商事の貸借対照表も作ってみると面白いかもと思ったり、その表を見たら落ち込むかもと思ったりしながら楽しく発表をうかがっていました。

次に「損益計算書」のお話では、これも図で一目瞭然に示していただいた後、五つの利益と収益・費用の内訳、収益・費用・利益の関係と、順に教えていただきました。増収・減益と、売上高・利益の増減の項目では、実在する企業数社のデータに穴埋め形式も用いてご解説いただきました。
営業収益(売上高)に占める各項目の割合についてのお話の後、誰もが知る家具・インテリアの企業の連結損益計算書を例に、原価率・利益率の計算方法も教えていただきました(CMソングが脳裏に浮かぶ、こちらの企業はご繁盛ですね)。
楽しいクイズはこちらでも。費用・利益の割合が特徴的な4つのデータがそれぞれどの企業のものか当てるゲームとご解説の後、2回目のグループワークでは、グループごとに3つずつ異なる企業の損益計算書が提示されて、それぞれどの企業のものか考察、発表しました。皆様の正解率、すごかったです!

最後に「その他の会計情報」として、稼ぎ頭の事業の見方を教えていただきました。セグメント情報のご解説の後、営業収益(売上高)の貢献度が高い事業、営業利益の貢献度が高い事業の確認方法の計算式を教えていただき、隠れた稼ぎ頭や、投資に対するリターンが大きい事業を見出す計算についてもご説明いただきました。
さらに参考として自己資本比率と自己資本利益率、また不況に強い企業体質についても教えていただき(現在のコロナ禍でも強い企業体質のお話も面白かったです)、全2回これにてめでたく閉幕となりました。

受講者の皆様からは、「決算書の読み方が分かると、ビジネスの舞台裏や動向についてとても沢山の洞察が出来ることが分かりました。今後ニュースを読んでも違う考え方が出来そうです」、「社債発行の件を始め新聞等のニューストピックを紹介していただき、また数社の決算書等を分析したことで、様々な企業がコロナ禍を乗り越え持続可能な企業経営を模索しながら選択している最近の動向が分かり、たいへん興味深く聴講できました。今後の参考にします!ありがとうございました」などとご感想をいただきました。
後半は計算式もちょこちょこ登場しましたが、そこで導き出される数字から見えてくる情報の有益さも理解でき、とても勉強になりました。

櫻井先生、ビジュアルで理解しやすい資料と楽しいクイズ盛りだくさんのお話をありがとうございました!おかげさまでグループワークも和気藹々の議論百出(?)だったようです。次回の「天王山」を先生のご先導のもと登るのも、楽しみにしております。
そして第2回のリアクションペーパーで寄せられた質問の数々に対し、詳細な資料をみなさんへの配布用にと作成して早速お送りいただきありがとうございました。師が走ると書く、先生と呼ばれる業種は総じててんやわんやの忙しさの12月に恐縮です!資料の隅にはそっと「良い年をお迎えください。2日間お世話になりました」というメッセージと手を振るマークが。こちらこそ重ね重ねお世話になりました!

文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)