今年度、8回目の講義を担当してくださったのは、お茶の水女子大学 基幹研究院 人間科学系 准教授、大学院人間文化創成科学研究科附属心理臨床相談センターの石丸径一郎先生です。

石丸先生は、2022年7月で30回を迎える「レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」を例に挙げ「当時は映画祭への協賛もほとんどありませんでしたが、近年、LGBTへの関心が高まってきたので、今では大企業も協賛してくれるようになりました」と振り返ります。

研究者としてだけではなく、公認⼼理師として週1回、都内のクリニックで性に関する相談に乗っている石丸先生。出生時の性と自認する性が違うことに悩んでいる架空事例を示しながら、「LGBTQについては、生物、社会、心理の視点で捉えることが必要です」と、
ジェンダーの概念やLGBTQの多様性、日本特有の事情などを説明してくださいました。

ブレイクアウトセッションでは、LGBTQ、ジェンダー、セクシュアリティについての課題と対応策についてディスカッションしました。「個別更衣室の準備ができない」、「外見と戸籍の食い違い」、「男子は青、女子は赤のイメージが根強い」など、課題はいくつも挙がりましたが「設備やシステムの構築にお金がかかるので、対応するのには時間がかかるかも知れない」との見方も示されました。

ただ、LGBTQの人が何を望んでいるのかを本人に聞くことはできます。「『LGBTQは少数派だからかわいそう』と接するのではなく、対等に、相手を尊敬して話をすることが大切」という石丸先生の話を聞いて、「自分の中の価値観を見つめなおすきっかけになった」という塾生が多かったようです。