今年度、7回目の講義を担当してくださったのは、お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 教授、文理融合AI・データサイエンスセンター 副センター長の由良敬先生です。冒頭から塾生に、インパクトのある問いを投げかけてくださいました。

「みなさん、これからは昆虫を食べましょう」と言われたらどうしますか?

2050年には、世界の人口は98億人になると予測されており、現在の76億人からは22億人も増加します。そこで懸念されるのが深刻な食料不足。日本はそのころ、1億人を切るだろうと言われていますが、「日本も世界と同じような危機に陥る」とのこと。近年、世界中の研究者、企業、団体などが、国をあげてSDGsゴール2「飢餓をゼロに」に向けた取り組みを始めています。

そこで注目されているのがコオロギです。新しいたんぱく質源を導入するには昆虫が最適で、なかでもコオロギは、飼育が簡単で雑食だからです。すでに素揚げやパウダー、ラーメンなどが市場に流通しており、食べたことがある塾生もいました。

なぜコオロギを食べることができるのか。それは、コオロギのDNA上の特定の塩基配列を編集できるようになったからです。「遺伝子組み換えとゲノム編集は違います。編集はもともと起こる変化を加速させるということ。それが組み換えとの大きな違いです。未知の生き物を作ってしまうのは危険です」と由良先生。

最後は、計算ゲノム生物学の講義でまとめていただきました。塾生からは、「安全性が心配」、「人類のためなら仕方ない」などの意見のほか、「遺伝子組み換えとゲノム編集の違いを知らなかったので、これから新たな見方ができる」という感想が多く聞かれました。