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ムーンショット型農林水産研究開発事業


2022本研究所では、2020年度からムーンショット型農林水産研究開発事業として「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料生産システムの開発」に取り組んでいます。本研究所での研究内容とさまざまなイベントをご紹介します。

研究成果公開情報

このプロジェクトには、お茶の水女子大学を含む17機関(大学や研究機関)が参画しています。コオロギ、ミズアブ、シロアリを新たな飼料・食料源にするための基盤を構築するプロジェクトです。これら昆虫を家畜化することで人類の食料に新しいタンパク質源を加え、食料の安定供給実現をめざします。その活動の全体はこちらで紹介されています。ここでは、お茶の水女子大学の活動について紹介します。

お茶の水女子大学は、このプロジェクトの代表機関として、とりまとめ(ヘッドクオーター)の役割、ゲノムデータベースの構築、コオロギの栄養成分分析、および昆虫食の社会実装に向けた活動に取り組んでいます。

活動の一環として、最近は以下のイベントがありました。

  • 2023年1月12日と19日に、東京都豊島区雑司が谷地域文化創造館で、「食の視点から考えるSDGs〜食料・資料としての昆虫〜」の講演会を開催しました。参加者にはコオロギを原料としたお菓子やパンを食べてもらい、好評でした。
  • 2022年11月19日に、国際シンポジウムをハイブリッド開催いたしました。会場でのニジマス試食会は大成功でした。NHKニュースでも報道されました。
  • 2022年10月24日に、星野剛士内閣府副大臣が本学を訪問され、コオロギ料理とコオロギのお菓子を試食されました。詳細は副大臣のTwitterをご覧ください。コオロギ料理に大満足していただけました。

 

ヘッドクオーターとしての活動

お茶の水女子大学に設置されたヘッドクオーターでは、プロジェクトで日々発生する研究活動案件をとりまとめ、ムーンショットプロジェクト目標5を統括する生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)に報告するとともに、生研支援センターからの様々な依頼に対応し、15機関の活動を支援しています。

コオロギのゲノムデータベース開発

ゲノムはすべての生物の設計図です。コオロギのゲノム(DNA塩基配列)は、今やっと読み取られようとしています。読み取りが完了後は、書き込まれている情報を解読し、その結果をデータベースにして広く情報を提供します。その情報を利用することで、病気に強いコオロギや、よく育つコオロギなど家畜として適切な性質をもつコオロギの育種がやりやすくなります。基礎科学と食品科学をつなぐ重要な役割をデータベースが担います。お茶の水女子大学では、プロジェクトの他機関と協力してこのデータベースを構築しています。

コオロギの成分分析

コオロギを飼料や食料にする際には、コオロギを粉末にすることを考えています。コオロギパウダーにはどのような成分が含まれているのかは、よくわかっていません。それらの成分がどの程度保持されるのかもわかっていません。お茶の水女子大学では、コオロギパウダーにどのようなアミノ酸や脂質が含まれているのかを明らかにしています。人が食するために不可欠な成分がそろっているのか、また健康を増進する成分が含まれているのかなどを明らかにしていきます。

よく似た研究は、世界の多くの機関でも実施されており、多くの論文が発表されています。それらの論文を収集し、成分データをまとめて見ることができるデータベースの構築も行っています。

昆虫食の社会実装に向けて

コオロギを含む昆虫を食する文化は、日本には昔からありました。しかし近年は昆虫を食べる習慣が一部の地区だけに残っている様子です。このような背景で、新たにコオロギを食品として社会に導入するのは難しいことかもしれません。そこでどのようにして社会に導入していけばよいのかを検討します。そのために、昆虫食の普及活動をしている様々な機関のお話しをうかがい、連携を模索しています。また昆虫食の今昔を歴史調査やアンケートによって明らかにすることで、どのような活動が社会実装に必要なのかを明らかにしていきます。

この一環として、2021年度末に良品計画にヒアリングを実施しました。そのヒアリングの様子はこちらに記されていますので、ぜひご覧ください。