2021年1月10日(日)講義:13:30~16:40
鹿住 倫世氏(専修大学 商学部 教授)
新年第一弾は、素敵なお茶大OGで、徽音塾誕生当時から面倒を見て下さっている鹿住先生のご担当回です。
継続でご参加の方、戻っていらした方、始めておいで下さった方と今回もいろいろな受講者が揃い、オンライン講座の効果か職種も年齢もお住まいの地域もバラバラで、様々なお話が伺えて楽しいです。今回の顔ぶれを見て、鹿住先生はソーシャル・イノベーションのお話も急遽追加して下さいました。
最初は今、なぜイノベーションが大事か、そもそもイノベーションとは何かというお話でした。まずは導入として、バブル後のインターネットの一般化や失業率の変遷、政府の動きなどを絡め、現在に至るまでの新規事業の出現についてご説明がありました。
不確定性の高い時代におけるイノベーションのお話では、デリバリー専門の飲食店や、持ち帰り前提で開発された見栄えのする丼などについてもご紹介いただきました。日頃なんとなく面白いなあと見ていたニュースの中にも、イノベーションの成功例が潜んでいるようです。
変化がイノベーションを生むというお話では、新技術の出現により経営戦略・事業構成を変えて生き延び、今や別分野で活躍している企業と、対照的に旧来の自社の看板に固執した挙句に落日の憂き目にあった企業の実例を挙げて説明していただきました。前者の新しい分野での人気商品は多くの人が知っていますが、そういえば出てきた当初は「なんでこの会社がこの分野の商品を?」と思っていました。成功体験に足を引っ張られずに、自分の強みを活かして新しい事業を創出する…自分(の勤め先)にできるだろうか?できる風土だろうか?と考えた方も多かったようです。
イノベーションによって業界の主流が変わった例についても、実例を豊富に挙げて教えていただきました。ああ、あんな道具(技術)があった、懐かしい!味がある!と思う一方で、もう利便性では今のものにかなわないな、とても戻れないなとも思いました。
持続的イノベーションと破壊的イノベーションのお話では、なぜ大企業がイノベーションを起こすことが難しいのかということも含めて解説していただきました。今まで成功を収めてきた大きな集団の方が難しいのですね。イノベーションを阻むものは多く、大企業に所属している人が、提案が通らずに結局退社して起業したというお話もなるほどと伺っていました。
個人ワークでは講義を踏まえ、自分の組織にとっての破壊的イノベーションはなにか、それぞれ考案してみました。
いざ取り組んでみると、知識や技術など「武器」はたくさん持っている筈なのに新分野に繋げてみるのが難しく、先生から「もっと『ぶっ飛んだ』方面で考えるといいですよ」とアドバイスが出る場面もありました(徽音塾はなんだろう…いっそ、リーダー育成も教育も思い切って捨てて、交流だけ強化して楽しい交流会?司会業?などと、上司に叱られそうな考え事をしていたのは内緒です)。皆様の、ちょっと先の世界で実現できるかもしれない面白いアイデアが伺えて、わくわくする楽しいひと時でした。
受講者の皆様からは、「会社継続を考える時、イノベーションを「持続的」視点で考えていましたが、コロナ禍である今は「破壊的」視点でも考えたいと思います」、「変化に常にアンテナをはり、変化しなければならない時には思い切りが大切だと学びました」、「イノベーションを阻むものがまさに自分の会社に当てはまっていると感じました」などとご感想をいただきました。
次回のお話とグループワーク(ちょっぴり宿題になっています)も楽しみです!
文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)