2021年3月6日(土)講義:13:30~16:40
汐崎 浩正氏(汐崎法律事務所 所長弁護士)

2020年度もとうとう最終回!今回もまずは、リアクションペーパーで寄せられた質問についての丁寧なご解説から始めていただきました。
結びの今回のラインナップは、労働基準法の話題の続きと労働契約法、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法、障害者差別解消法、労働審判法、女性活躍推進法と、これまた大事な法律がみっちりと目白押しです。

前回の労働基準法の話題の続きでは、賃金、時間外及び休日の労働、勤務間インターバル制度や年次有給休暇などについて、事件の実例も挙げながらお話しいただきました(中でも裁量労働制の話題は、個人的に当事者として気になるところでした!)。妊産婦に関わるくだりは、誰かしら同僚が産休を取ることが珍しくない現代において、女性活躍の問題も相俟って興味深い話題のようでした。

これまた当事者の多い育児・介護休業法については、玉つきで同僚の女性が不利益を被るケースや、近年取り上げられることの多い「男性産休」にまで目配りをしつつ、最近の動向についてもご解説いただきました。みんなが気持ちよく働くことの実現は、なかなか難しいです。
そろそろ親世代の介護の問題が浮上してくる世代の方も受講されている徽音塾、介護休業と介護休暇のお話も聞き逃せないところでした。自分にはまだ遠いと思っていても、気がつけば当事者なのですね。早目に知っておくことで心構えができます。

男女雇用機会均等法のお話も、徽音塾で特に気になる話題の一つです。セクシュアル・ハラスメントのご解説では、「ここからは独り言ですが」と先生のおっしゃったことに、画面越しに盛大な拍手が沸き起こりました。汐崎先生、女性の味方をして下さってありがとうございます。パワーハラスメントのお話にも、これは覚えておかなくてはという内容が満載でした。

パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法の話題では、正社員として仕事を続けることが一般的ではなくなってきた今日に有用な知識をご教示いただきました。雇用される側として身を守る必要を、つくづく感じます。

障害者雇用促進法、障害者差別解消法に関しては、雇用者数の水増し問題も記憶に新しいところです。障害をお持ちの方と深い関係のある仕事に就いていらっしゃる方や、雇用の現場を視察に訪ねたことがあるという方もいらっしゃいました。職場のダイバーシティが謳われているもののなかなか進展しませんが、それでも良くしようと頑張っていらっしゃる方々が頼もしく感じます。

一生関わる機会がないと嬉しい紛争解決と労働審判法のお話(でも、知っていると少し安心です)の後、最後に女性活躍推進法を取り上げていただきました。
日頃いろいろなレベル・種類の壁にぶつかっている女性も多いと存じます。つい、皆様がどのようなお顔で受講されていらっしゃるか気になってしまいました。具体例を挙げてお話しいただき、なかなか前進しない日本の現状にがっかり、でも先進的な企業の存在に明るい希望も垣間見えたところで幕となりました。

あっという間の全4回、受講者の皆様からは、「労働者の身体的な健康を保護するため、また、ハラスメントなどの働いている環境で受ける心理的ストレスから労働者を保護するために、法律の存在が大切であることが分かりました」、「セクハラ・パワハラは世代間によって認識が違う(女性間でも認識のズレあり)ことから、経営陣・経営職・管理職の外部機関による再研修が必要だと痛感しています。社内の人間のみとしか接する機会がないと自分の常識が世界の常識と思い込んでしまうことから経営陣こそワークライフバランスが必要な気がします」、「法律の歴史や判例を見ていくと、振り返ってみれば、ニュース等で見聞きしたりしたことがあったなぁと思い出し、法律も身近にあるのだと思いました。税率の改正が毎年行われるように、法律も多くの分野で、改正していると思いました」などとご感想をいただきました。
汐崎先生、今年度も詳しくご教授いただき、また受講者の個人的なケースの質問にも真摯にお答えいただき、まことにありがとうございました。

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例年であれば年度最終回の打ち上げとして、汐崎先生と一緒においしいものを食べに行くところですが(ちなみに去年はイタリアンでした)…今回はこのご時世ゆえ、銘々好きなものを用意して画面の前に再集合、オンライン打ち上げを開催しました!
香川のご当地ビールとおつまみやら、その晩のご家庭の晩御飯やら、こだわりのお洒落な食材やら、定番のお酒やら、皆様の普段の様子もうかがえて面白い会でした。
先生には最後までお付き合いいただき、結局3時間半くらいおしゃべりが弾みました。「コロナ終息の暁には、リアル2020年度会もしたいですね」とか、「遠方にお住まいの方のところにみんなで遊びに行くツアーがしたいですね」とか、楽しい未来のお約束も。
汐崎先生、皆様、本当にありがとうございました。新たな春が良きものでありますようお祈りしております。

文責 森 暁子(グローバルリーダーシップ研究所 特任アソシエイトフェロー)